ARK とある青年の日誌   作:車馬超

506 / 1041
第506話

百七十九頁目

 

 慎重にゴーレムが擬態した岩を見極める俺と、同じく混乱しないよう慎重にパララ君を操りながら動物達がはぐれないよう小まめに追従の指示を出すハンスさん。

 とにかく時間が掛かっても安全に移動を終えようという一心での事だったが、唐突にそんな俺達を急かすかの様に肩に乗せたミッキーたちが騒ぎ出した。

 まるで前に砂嵐が来る前の様に「ふるぁぁ……」と不安そうな鳴き声を上げている……が、前の時はこんな鳴き方だっただろうか?

 

 僅かな違和感を覚えるけれど、すぐに下の方から天候が崩れることに気づいたハンスさんの焦ったような声が聞こえてきて思考が打ち切られてしまう。

 しかしまさかこんなタイミングで天候の変化が訪れるとは予想外だった。

 まあ少し考えれば天候の変化などいつ起こっても不思議ではないのだが、この砂漠での天候の変化は命に係わるほど危険なものなだけにある程度時間帯とか決まっているものだと無意識のうちに思ってしまっていたようだ。

 

 たまたま前回の砂嵐が朝一番だったことも勘違いしてしまった原因の一つだろうが、だからと言ってちょうど皆での移動中に変化が起こるとは……ついてないというべきか不用意過ぎたと思うべきか。

 

百八十頁目

 

 天候の変化というトラブルに見舞われかけている俺達だが、ミッキー達のお陰で事前に対処する時間ができている。

 尤も対処と言っても天候の変化をどうにかできるはずもなく、俺達にできることといえば進むべきか戻るべきかを決めるぐらいだ。

 皮肉にも俺達はちょうど二つの拠点の間ぐらいにいるので、どちらに向かっても掛かる時間は変わらないだろう。

 

 それでも俺は少しだけ悩んだ上であえて引き返すことにした。

 天候の変化がこの後どれだけ経ったら起こるのかはっきりわからない以上、移動中に巻き込まれる可能性を考えるべきだ。

 そしてあの砂嵐に見舞われた場合に一番恐ろしいのは視界が遮られて進むべき方向が分からなくなることだと考えた。

 

 しかしその場合でもオベリスクの下に作った拠点の方は、それこそ空で緑に輝いて目立つオベリスクがそのまま目印になってくれる。

 だから万が一あの砂嵐に見舞われても方向に迷うことはないので、強引に戻れなくもないと判断したのだ。

 その考えをハンスさんにも伝えたところ、彼もまたすぐに納得してくれて俺達は来た道を引き返すことになった。

 

 ……結局無駄足になってしまったし、下手したらこの後砂嵐に襲われた状態で特殊個体が引き連れた動物軍団と戦わなければいけないと思うと何とも言えず口惜しいがこればっかりは仕方ないだろう。




今回名前が出た動物

ロックエレメンタル(ゴーレム)
パラケラテリウム(パララ君)
トビネズミ(ミッキー)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。