ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第508話

百八十二頁目

 

 まさかこんな形で新しい生存者に出会ってしまうとはっ!!

 しかも馬を乗り回しているところを見ると、あの人達は自力で動物を仲間にできたのだろう。

 確かあの馬は無理やり背中に飛び乗って餌を食べさせる形で懐かせることができるから、その辺の草から採取した果実だけあれば裸一貫でも仲間にできなくはないが……よくぞまあ自力で捕獲方法を見つけだせたものだ。

 

 そう考えるとあの人達はかなり優秀な存在なのかもしれないが、だからと言って狼の群れをどうにかできるとは思えない。

 何せあの狼は今の俺だからこそ雑魚扱いしているけれど、あいつらが群れた時の火力はかなりのものなのだ。

 もし装備も仲間も充実していない頃に襲われたら俺だってひとたまりもなくやられるだろう。

 

 つまり最初のエリアを馬一頭だけでうろついている……どう見てもまだまだ最初の段階であるあの人達にとっても、あの狼の群れはとてつもない脅威であるはずだ。

 だからこそすぐにでも助けに行かなければと思うのだけれど、そんな俺を咎めるように太陽から発する熱はどんどん強くなってきている。

 ……本当にシャレにならない暑さだ……もう目の前の空間が余りの熱気に歪んで見えるほどだ。

 

 熱に強い装備をしている俺ですら耐えがたいほどなのだから、絹が足りなくて布の服を着ているルゥちゃんとハンスさんはそれこそ熱中症のような命に係わる症状を引き起こしかねないほどだ。

 果たして振り返ってパララ君と共にかなり先の方まで進んでいるハンスさんの様子を伺ってみれば、まだギリギリ意識は保っているようであるが、動物の操縦を初め全体的な動きがふら付いているように見えた。

 恐らく熱に強い建物の中にいるルゥちゃんはまだマシだろうけれど、だからってこの異常すぎる熱気の前では余り大差はないだろう。

 

 ……ヤバい、ヤバすぎる……こんな状態であの人達を助けに向かったら俺達まで共倒れになりかねない。

 逆に言えば比較的充実してきている俺達ですら命が危険なこんな状況で、まだまだ序盤とも思える状態のあの人達は助けがなければ間違いなく命を落とすだろう。

 ど、どうすれば……俺はどうすればいいんだっ!?

 

百八十三頁目

 

 くそっ!! 俺はまだまだこの砂漠を舐めていたようだっ!!

 天気はどんどん熱くなり、肌が日差しの熱だけで火傷しそうなほどだ。

 ただ唯一の救いは視界が悪くなりそうな砂嵐が起こっていない点だが……しかしその砂嵐と比べても命の危険度ではむしろこっちの方が脅威かもしれない。

 

 この場所における天候の変化がまさかここまで恐ろしい物になるとは……前の島では天候など大した問題にならなかったから油断していたっ!!

 だけどどうすればいいんだっ!! この熱さに対する対策が思いつかなければあの人達を助ける以前の問題だ。

 それこそここまで暑いともはや粘土の住居で軽減できるとも思えないし、オベリスクの拠点に戻ってもそのまま干からびてお陀仏になるだけだ。

 

 俺自身、熱に体力を奪われながらそれでも必死に考え……だけど悩む時間も惜しくて俺は取りあえず事情を説明するためにハンスさんの下へと向かうことにした。

 果たしてパララ君はかなりオベリスクに近づいていて俺から距離があったけれど、やはり空を移動するとあっという間に追いつけて……あれ? なんか少し涼しくなったような?

 これが気のせいなのか本当に涼しくなっているのかはわからないが、とにかくハンスさんに生存者の発見を伝えた上でこの熱さを含めてこの後どうするべきか軽く相談することにした。

 

 するとハンスさんは熱に浮かされたような様子になりながらも必死にサボテンジュースでのどを潤しながら、オベリスクまでたどり着ければ取りあえず天候が回復するまで池の中にでも飛び込めば何とかなるのではという。

 一瞬、この熱で蒸発しているのではと思ったがARKシステムが管理している以上そんなことにはならないはずだというハンスさん。

 しかも恐らく水中の温度なども飲料水にしたり魚を始めとした生き物が生息しなければいけない関係上は厳密に管理されているはずだから、いつもと変わらない温度に保たれているはずだという。

 

 ……それなら確かにオベリスクの麓にある水辺までたどり着ければ何とかなりそうだ。

 念のため、パララ君の背中に降りて住居の中で休んでいるルゥちゃんの様子も確認したが、やっぱり粘土作りの住居内でも熱は完全に防げていないようであった。

 それでもオウ・ホウさんが見守る中でやっぱり暑そうにサボテンジュースを啜りながら体力を温存するかのようにベッドで横になっていたルゥちゃんは、まだ外にいたハンスさんよりは余裕がありそうでもあった。

 

 ……この調子なら多分ルゥちゃんもハンスさんもオベリスクまで無事に戻るぐらいの余裕はあるだろう。

 もちろん俺もこのままオベリスクに向かえば何の問題もなく生き残れるけれど………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱりそうだよねフローラ……幾ら慎重に行動するのが基本だとしても助けられるかもしれない命を見殺しにするわけにはいかないよな。

 この砂漠に来てからどれだけの命を取りこぼしてきたのかわからないけれど、やっと手が届くかもしれないんだから……助けに行かないとっ!!




今回名前が出た動物

エクウス(馬)
ダイアウルフ(狼)
パラケラテリウム(パララ君)

現在の天候
スーパーヒート
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