百八十四頁目
ああ、そうかっ!! あいつはあの時俺に襲い掛かったゴーレムかっ!!
ちょうど倒れている馬に止めを刺しているところだが、その少し手前には二人の女性が倒れていた。
多分……いや、間違いなくあの人達が俺の捜していた生存者なのだろう。
恐らく俺を見失ってまた岩に擬態しなおしたゴーレムに気づかず触れてしまい、ゴーレムが砂から飛び出す衝撃をもろに受けて吹き飛ばされてしまったのだろう。
しかも彼女らの格好は気休め程度の防御力と温度耐性しか持たない原始的な布の服でしかなく、しかも皮が必要となる部位は作られていない。
あれではこの砂漠における通常時の日中の温度ですら堪えるはずだ。
まして今は同じく原始的だけれど砂漠専用とも言える装備をしている俺ですら耐えられない温度なのだから、もう既に彼女達は命に係わるほど消耗しきっていると考えるべきだろう。
現に砂の上に崩れ落ちている彼女達は目立った外傷もないのに殆ど動かなくて生きているかもわからな……い、いや僅かに手が動いているっ!?
まるでお互いの存在を確認しあうかのように手を伸ばしあう二人の様子に、今ならまだ助けられるかもしれないと希望が湧いてくる。
ただ同時にそのためには直ぐ傍に居るあのゴーレムをどうにかしないといけない。
既に彼女達の仲間であっただろう馬を殺し、次の獲物とばかりに彼女達の下へノソノソと近づいているあのゴーレムをだ。
だけど今の戦力は俺の乗るアルケンαと追従させているアルケンβ、そしてたまたまついてきてくれたカルノン君だけだ。
……どう考えても勝ち目などない……ましてこの天候の中で戦闘などしていて時間をかけていては熱気の方にやられてしまうのがオチだ。
だとすればもう他に選択肢などない……前々から考えていた通り囮を使ってゴーレムを引き離し、その隙にあの人達を助けるしかない。
もちろん今の時点で使える囮といえば一匹しかいない……カルノン君……頼む、行ってくれ…………こんな命令しかできない駄目な主人でごめんな。
百八十五頁目
俺の指示に忠実に従ったカルノンは、その足の速さを生かしてすれ違いざまにゴーレムに攻撃を仕掛けると、そのままこの場を離れていこうとする。
もちろん攻撃されたゴーレムは予想通りカルノンの方に意識を向けて、離れていくそっちを追いかけ始めた。
この隙を見逃すわけにはいかず、すぐに倒れている女性二人の傍に近づき声をかける。
するとどちらも虫の息のようだが綺麗な銀髪をしている女性の方が僅かに目を開いてこちらを見た……ような気がした。
だけどすぐ疲れたように目を閉じてしまい、それっきり二人とも何の反応もしなくなってしまう。
ただまだかすかに呼吸はしているようで胸が上下しているため恐らく死んではいないようだが、既に全身の肌が火傷したように赤く染まっている状態で意識不明なのだ。
この調子では命を失うのはもう時間の問題だろう……くそ、せめて意識があればメディカルブリューを飲ませて何とか体力を回復させてあげられたのにっ!!
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
エクウス(馬)
アルゲンダヴィス(アルケンα、アルケンβ)
カルノタウルス(カルノン君)
現在の天候
スーパーヒート