百八十六頁目
もはや虫の息と言っていい二人だが、このまま見殺すわけにもいかない。
だからと言ってできることなど、ここより少しでも涼しい場所に連れていく以外にはない。
つまりは熱に強いレンガ造りの建物があり、水浴びも存分にできる緑のオベリスクのある場所に作った拠点だ。
尤も今の気温では文字通り焼け石に水といった感じだろうけれど、それでも他にできることはない。
念のためゴーレムがこちらを見ていないことを確認してから、俺はアルケンαで飛び立ちβに指示を飛ばしそれぞれのかぎ爪で二人の女性を掴み上げた。
果たして意識がないため特に抵抗されることなくスムーズに持ち上げることができた。
後は移動中に落ちないよう気を付けながら……その上で一刻も早く涼しい場所へ連れて行こうとアルケン達を慎重に急かしながら移動を始める。
その際に改めてゴーレムの方を見れば、少し先の方で金属鉱石などの岩場に足を取られて進めなくなったカルノン君と殴り合いを始めていた。
遠目なのと熱で視界が揺らめいているせいではっきりした状況はわからないが、赤い血が激しく飛び散っているようにみえる。
ゴーレムから出血するとは思えないしあの血は恐らくカルノンの……あれでは万が一にも助かりはしないだろう。
……心中でもう一度謝罪しながら、それでも俺はカルノンのことを振り切るようにこの場を離れ続ける。
本当にごめんよカルノン君……許してくれとは言えないけれど……代わりにこれだけは誓うよ。
……そのゴーレムだけは俺が……何度も何度も苦渋を飲ませてくれたそいつだけは必ず倒してやるっ!!
百八十七頁目
やはり緑のオベリスクは目印としてこれ以上なく目立っていて、まして障害物のない空を飛ぶ俺は迷うはずもなくあっさりと拠点へ戻ることができた。
そうして安全な防壁の内側目指して高度を下ろしていくが、その傍らには誰も乗っていないパララ君の姿もあった。
どうやらハンスさん達も無事に戻ってこれたようだ……姿が見えないのは少しでも涼もうと池か或いはシャワー室で水浴びをしているのだろう。
ただ今はそっちの二人の様子を探す余裕はなく、死にかけているこちらの女性二人をどうにかしなければならない。
早速着地する……寸前のところでアルケンαから飛び降りると、かぎ爪で掴んでいた銀髪の女性に衝撃を与えないよう優しく抱き抱えてから下ろした。
そして不安でドキドキしながら彼女の様子を確認したが、まだ何とか生きているようではあった。
ただ相変わらず意識が戻る様子はなく消耗しきっているようであり、これではこの熱気に耐えられるはずが……あれ???
なんか……涼しくなっているような……いやまあ熱いことは熱いのだけれど、普段の砂漠とそこまで変わらない温度というか俺の装備でもギリギリ耐えれる程度というか……?
……い、いや理由なんかどうでもいいっ!! 涼しくなっているなら好都合だっ!! これならこの二人は助かるかもしれないっ!!
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
アルゲンダヴィス(アルケンα、アルケンβ)
カルノタウルス(カルノン君)
現在の天候
スーパーヒート