ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第517話

百九十七頁目

 

 くそ、何だかんだで俺はこいつを舐めていたかもしれない。

 前の島で最終的に特殊個体のティラノすら倒せるようになっていたせいか、同じ特殊個体でもラプトルぐらいなら大したことは……と無意識のうちに思い込んでいたようだ。

 アルケンαに乗ったまま戦闘を仕掛けたが、特殊個体ラプトルは通常個体とはやはり強さが違い過ぎた。

 

 あっという間に血だらけになっていくこちらの動物に対して、向こうは僅かなかすり傷しかついていない。

 力強さも頑丈さもラプトルどころかこの辺にいるどの動物と比べても桁違いだ。

 しかもそれが二体もいる……それに対し同数のアルケンだけで挑んだところで勝てるわけがない。

 

 ……またしても判断ミスか、先ほど動物達を失った時といい何だか失敗してばかりだ。

 慎重に行動しているつもりだけれど、俺はどこか傲慢になっているのかもしれない。

 前の島を攻略しきった自信と経験がどこか空回りしているような気さえする。

 

 ああ、だからって今はそんなことを考えている場合じゃないっての……全く目の前の戦闘にも集中できないだなんて疲れでも溜まっているのだろうか?

 とにかくこのままアルケンだけで戦っても仕方がない以上、他の動物にも先頭に参加してもらうしかないな。

 

百九十八頁目

 

 一旦傷ついたアルケンと共に防壁の内側へと引っ込むと、改めてモスラ二匹を追従させた上でアンキロを掴んで再び防壁の外側へと向かった。

 そしてモスラ達をけしかけて……まあ攻撃力は期待できないけれど鱗粉で動きを鈍らせることができるので、その隙に少し離れたところに下したアンキロの背中から高品質の弓矢で一頭を集中して射抜いてやる。

 こうすることで取りあえずあのモスラ達がやられるまでこちらが攻撃される心配はないし、動きが鈍っているお陰で距離があっても的確に頭を射抜くことができた。

 

 果たしてモスラ達がやられる前に一体は何とか倒すことができた。

 また残る方にも攻撃を仕掛けていくと、こちらも段々と弱っていくのが分かった。

 しかし完全に倒しきる前にモスラ達はやられてしまい、途端に奴は弱り切っているにも関わらず俺達の方へと襲い掛かってきた。

 

 流石に接近戦となると弓矢は使い辛い……幸い向こうも傷ついていることだし、アルケン達とアンキロの力を借りれば何とかなるはずだ。

 

百九十九頁目

 

 アンキロの尻尾はハンマーの様になっていて重量があり、その攻撃は遅いけれど鉱石を砕けるほどの威力がある。

 尤も特殊個体の感情さの前では大したダメージになっていないようであったが、反動で相手の身体を僅かに吹き飛ばすことはできた。

 お陰で距離を詰められて一方的に攻撃を食らう心配はなく、安定して殴り合うことができた。

 

 しかも空を飛んでいるアルケン達が機動力を生かして隙あらば背後に回って攻撃に参加してくれるため、こうなると既に傷ついていることもあり流石の特殊個体ラプトルと言えど長くはもたなかった。

 ……それでもなお倒れるまでに俺の乗っていたアンキロはサドルで庇われていてなお大怪我をしてしまっていた。

 本当にギリギリだった……まあ最悪の場合でもアンキロが倒れる前にアルケン達に飛び乗って逃げる気だったけれど、とにかくこんなギリギリの殴り合いは久しぶりだ。

 

 しかも今までは空を飛んでいたり距離のある所から一方的に攻撃してばかりだったから……いや前の島ですら強敵と戦う際は自然と背の高い強力な恐竜の背中に居てばかりだったから、こんな同じような背丈の動物の背中に乗って殴り合う迫力はいつになく凄まじく感じられた。

 それこそ未だに心臓がバクバク鳴っているような気さえするが、これが恐怖からなのかそれとも興奮したからなのかはちょっと区別が尽きそうにない。

 

 ……初めて前の島で目を覚ました際は動物と出会ってはこうして心臓が高鳴っていたものだけれど、やっぱり俺はどうにもこの環境に慣れすぎて動物の恐ろしさを含めて色々と鈍感になっているような気がする。

 これが致命的な間違いに繋がらなければいいけれど……いやもう既に色々とミスを犯してしまっているのかも……俺はもう一度、初心を取り戻すべきなのかもしれない。




今回名前が出た動物

αティラノサウルス(特殊個体のティラノ)
αラプトル(特殊個体のラプトル)
ユタラプトル(通常個体のラプトル)
アルゲンダヴィス(アルケン達)
アンキロサウルス
リマントリア(モスラ達)
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