二百頁目
念のためにアルケンαに乗り大空の上から周囲を見回して、安全が確保できたことを確認する。
その上でまず特殊個体ラプトルの死体を解体して大量の霜降り肉とちょっとだけ品質の良い鉄の斧、そしてレシピと思わしきメモ帳を回収した。
いつぞや特殊個体ラプトルを倒した時と似たようなものが手に入っていて何やら懐かしさを覚える。
そんな気持ちのままレシピを眺めて、いつも通りロックウェル氏の名前と共に記されている見覚えのない料理の作り方と詳細を確認し……ようとしたところで遅れて気が付いた。
そうこれは前の島でも見つけた俺の尊敬する先達者であるロックウェル氏が書き残したであろうレシピだ。
彼の私物がここにもあるということはつまり、彼もまたヘレナ氏のようにこの砂漠へやってきたということではないだろうか?
或いはヘレナ氏と共に来たのかもしれないが、ともかく自分がロックウェル氏と同じ道を辿っている事実に何やら嬉しさのような感情が湧きだしてくる。
ヘレナ氏の日記を見つけたときも同じようなことを思ったけれどここまで心は動かなかったのに不思議なものだ。
……まあ前の島ではロックウェル氏の日記のお陰でオベリスクやアーティファクトを始めとした知識が手に入ったし、また彼の残したメディカルブリューを始めとしたレシピには現在進行形で助けられ続けている。
だから先達者様たちの中でも特にロックウェル氏に対する尊敬の念が強いのは事実だし、だからこそその人と同じ道を歩んでいることが自分の努力の正しさが報われているような気になるのかもしれない。
……この砂漠に本当にロックウェル氏が来ているのなら日記も残っているかもしれないな……ぜひとも探し出して彼がこの砂漠で辿った軌跡の一部でも知りたいものだ。
そんなことを思いながら俺は改めて感謝の想いを抱きながら、彼の残してくれたサバイバルに役立つであろう新たなマインドワイプトニックという名前のレシピを確認し……な、なんだこれはっ!?
き、記憶を消す薬……っ!? あっ!? そ、そういえば前に読んだ日記の中にそんな薬を開発したとか書かれていたような……だ、だけどこんなものサバイバルする上で何の役に立つというんだっ!?
当時は日記という物を初めて見つけた衝撃と他に人間がいるかもしれない喜びで内容などあまり気にしていなかったが、彼はこの薬を使って何をしていたんだろうか?
わざわざ日記やレシピに残すということはたまたま発明しただけで無用の長物だったとは考え難い。
だけど俺なんかの頭ではこんな薬は悪用にしか使えないような気がする。
でもまさかロックウェル氏に限ってそんな……だけど記憶を消す薬なんか人を騙……は、ハンスさんっ!!?
防壁の内側からハンスさんが慌てた様子で呼ぶ声がするっ!! こ、今度は一体何が起こったんだっ!?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケンα)
αラプトル(特殊個体ラプトル)