二百十八頁目
改めて向き合ってみるとキャシーとソフィアはパッと見た感じの印象は真逆といった風であった。
銀髪ですらりとした体型をしているソフィアは、また体調が悪いのもあるだろうけれど儚げな印象が強く、深窓の令嬢という感じだ。
それに対して金髪のキャシーは色々と豊満ながらも健康的に引き締まった体型をしていて、今はともかく普段は快活な性格そうであった。
まあどちらも見目麗しく魅力的な女性であるという点だけは同じであった。
そんな二人がじっとこちらに視線を投げかけて来ている光景は何というか不思議な圧力を感じそうになる。
多分フローラと出会う前だったら勝手に物凄い居心地の悪さを感じて真っ当に対応できなかったかもしれない……というか実際にハンスさんは目を合わせずらいのか視線をさ迷わせている始末だ。
……この調子だとハンスさんは頼りにならなそうだし、彼の分も含めて一人で説明するしかなさそうだ。
そう覚悟を決めた俺は、取りあえず二人に向かって自己紹介がてら自分達の名前を教えた。
もちろん既にキャシーには話してあったし彼女経由でソフィアにも伝わっていただろうけれど、お互いの間に走る妙な緊張もあってか向こうは何故かご丁寧にどうもと、頭を下げながら自分達も名前を口にした。
……なんか一瞬お見合いみたいな空気を感じたが、まあ右手首も傷んでないしきっと俺だけの勘違いだろう。
二百十九頁目
取りあえず彼女達が抱いている不安のうち、せめて俺達に対するものだけでも軽減させてあげたいところだった。
だからまず俺達もまた彼女達と同じく、ここに連れてこられた被害者であることを告げることにした。
それを聞いて二人がどう思ったのかはわからないが、軽く肩から力が抜けた……或いはがっくりと肩を落としたように見えた。
俺達が自分達を攫った元凶でないことへの安堵か、それとも同じ被害者ならこの場所に連れてこられた目的や現状などを知ることはできないという落胆か、多分そんなところだろう。
ただどちらにしても彼女達の憶測は間違っている……ここにいる皆は攫われてきたわけではないし、また俺達はもう自分達が求められている目的もこの場所がどういうところなのかもほぼ知り尽くしているのだ。
そんなことも露知らずキャシー達は俺達に向かって、いつからここにいるのかとかこの拠点は元からあったものなのか自分達で一から作ったものなのかとか、この砂漠に原住民みたいな人はいるのかとか……とにかく何でもいいから知りたいとばかりに色々と尋ねてくる。
もちろん彼女達を不安にさせないためにも全部正直に答えるからと約束しつつ、あえて俺はその前に教えて欲しいことがあると言い……二人は何年に生まれたのか尋ねた。
本当は俺達の生まれた年を教えてもよかったのだけれど、それだと出会ったばかりだしルゥちゃんの一件もあって嘘を言っていると思われる可能性がないとは言い切れない。
それに対してこの二人はお互いを信頼し合っているようだしそんな相手が口にした言葉を疑いはしないだろう。
果たして手首に埋め込まれているインプラントが良い感じに通訳してくれたのか、二人は俺の質問に首をかしげながらも自分達の生まれた年をわかりやすい西暦で教えてくれて……途端に彼女達はお互いに視線を見合わせて固まってしまった。
何故ならキャシーとソフィアの生まれた年には約百年もの差があったのだから……