二百二十一頁目
今という時間が遥かな未来であること、その時代には地球文明は滅んでいること、そんな地球を再生させるためのARK計画、ここはそのための舞台である宇宙に浮かぶ箱舟の一つ、そこで俺達に課せられた目的……とそのために生み出されたクローンであること。
そんな突拍子もない……だけど間違いなく俺達を取り囲む現実の話を正直に伝えていく。
彼女達は最初こそ信じられないという顔をしたり渇いた笑みを浮かべたり、或いはわからない概念に対して質問をしたりしていたがその口数はどんどん少なくなっていった。
そしてクローン、すなわち自分達はこの場所で記憶だけ持たされた状態で新しく生み出された存在であることを聞いてからは俯いたまま押し黙ってしまった。
重く苦しい空気が辺りを包んでいるような気がする上に何より彼女達の姿には痛々しさを覚えてしまう。
それでも何とか最後まで話し終えることができたが、その後もしばらくの間彼女達は黙ったままだった。
やはりショックなのか、それとも話の内容がぶっ飛びすぎて意識が追い付いていないか……単純に俺達をヤバい奴だと認識してしまったのか。
俯いていて表情を伺うこともできない俺には全くわからないが、とにかくこれだけ黙り込んでいる辺り深刻な状況であることだけは理解しているようだ。
そんな彼女達に俺も同声をかけていいかわからず黙り込んだことで辺りは静まり返った……ことでほんの微かにだが心地よさそうな寝息が聞こえてきた。
チラリとそちらに目を向ければベットの中で悩みなどなさそうに安らかな眠りについているルゥちゃんの姿があった。
結構話し込んで夜も更けているのだから彼女が眠りに落ちているのは当然の話であったが、そこで自分達もいい加減休んだ方が良い時間帯だと気が付いた。
何せ明日は余りモタモタしていたらまた動物達の襲撃が起こるのだから。
……それに何より彼女達には落ち着いて考える時間が必要かもしれない。
そう思った俺はわざとらしく欠伸をすると、他にも聞きたいことがあるかもしれないけれど続きはまた明日にしようと告げて、いつの間にか正気に戻っていたらしいがやっぱり空気に飲まれて黙り込んでいたハンスさんを連れて二階の寝室へと移動して素直にベッドに入り目を閉じた。
できれば明日の朝までには会話が成立する程度には立ち直っていてくれるといいのだけれど果たしてどうなることやら?
……まあ最悪の場合俺達のことを全く信頼できなくなっている可能性はあるけれど、その時は動物の襲撃について告げた上で逃走用の飛行生物を譲り、俺とハンスさんとルゥちゃんの三人はさっさと移動拠点であるパララ君に乗って移動するしかないだろうな。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君)