二百三十五頁目
どうもソフィアは俺がたどり着く寸前まで意識を保っていたらしく、ゴーレムと思わしき動く大岩と共に炎を纏いながら空を飛ぶ鳥を見たのだという。
もちろん当初はそんな生き物が存在するはずないと思い全部幻覚だと考えて口にはしないでいたようだ。
だからこそ先ほどゴーレムが実際に動くところを見た際には物凄く驚いてしまい、またその後もゴーレムが居るのならばあの燃える鳥も本当に居たのではと思いついつい考え込んでしまっていたのだ。
しかし燃える鳥といえば某ゲームに出てくる睨みつけてくる奴……ではなくて、やはりこの場合はフェニックスとか火の鳥とか呼ばれてる伝説上の生き物のことだろう。
だから尋ねてみるが、そこでどう翻訳されたのかソフィアははっとした顔をしたかと思うとそれに違いありませんと目を輝かせながらキャシーの様に身を乗り出して叫び出した。
急にどうしたかと思ったが、何でもソフィアの生まれ故郷には『火の鳥』に関する民話があり、その話の中で火の鳥を追っていた人間は連れていた馬を狼に殺されてしまうのだという。
……ソフィア達は狼に追い回された挙句に連れていた馬が殺されていると考えると、何だか変に合致している気がしないでもない。
果たして彼女もそう考えているようで物語の主人公になったような気分でいるのか或いは運命を感じているのか、どうにかして後を追いかけて仲間にしたいようだ。
まあ前の島でもユニコーンが居たことだし確かに火の鳥だっていないとも言い切れない。
ただ普通の馬とほぼ同じ能力しかなかったユニコーンを思うと、仮に火の鳥が本当に居たとしても不死身だとか永遠の命だとかそういう特別な力はなさそうだ。
それこそ多分見た目だけ違うアルケンぐらいの生き物だろうし、確かに見つけたら捕まえてもいいけれどわざわざ探して回る価値はないと思う。
まあせっかく楽しそうにしていることだし、暗い空気が戻るよりはマシだからわざわざそんなこと言う必要は……と思ったが傍で話を聞いていたキャシーまで興奮したように今すぐにでも飛び出しそうな勢いで絶対に見つけましょうと騒ぎ出した。
しかも二人揃って再び俺の方に身を乗り出し、左右から挟み込むようにして同意を求めるようにそう思いませんかと聞いてこられて……ちょっと右手首が居たくなってきたことだし、流石に大丈夫だと思うが万が一にもこのまま探しに行こうなんて話になったらシャレにならない。
だから仕方なく二人をクールダウンする意味も兼ねて前例であるユニコーンの話をして期待しない方が良いと言い含めようとしたが、今度はそのユニコーンの部分に食らいつい来られてしまった。
カウボーイとかカウガールとか西部劇でしか聞いたことがない単語を口にしているキャシーは未知の馬そのものに興味を示しているようで、ソフィアの方は何かの本で読んだことがある伝承だか民話だかの話をして違いを細かく尋ねて来て……興奮が収まるどころか増していく一方だ。
同時に身の乗り出し方もどんどん強くなっていき、それに比例するように右手首も……な、何で……どうしてこうなるんだっ!?
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
●●●●●●(燃える鳥?)
ダイアウルフ(狼)
ユニコーン
エクウス(馬)