ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第541話

二百三十六頁目

 

 興奮する二人をなだめようとするが彼女達の質問は留まるところを知らなかった。

 仕方なく俺は二人に聞かれるままユニコーンの特徴から始まり、このARKにいる生き物の中で特に空想世界からやってきたような特徴を思った生き物に付いて教えていった。

 拠点を背負い空を移動できるケツァ君、今乗っているパララ君より一回り以上大きい肉食のギガノト、それらを重ねても届かない文字通り山のような超巨大草食、クラーケンを連想させる大王イカ、強敵ばかりの洞窟の中にいた雪男……そして討伐すべき強敵で仲間にはできなかったがいが討伐すべき強敵だた赤いオベリスクの奥にいたドラゴン等々……

 

 話を聞いて彼女達は目を輝かせていたが、ふと途中で何かに気づいたように動物に関わらない二つの質問をされてしまった。

 一つは海の生物の話をしたけれどこの荒涼とした砂漠のどの辺に海があるのかということ、そしてもう一つはそれだけ多くの動物を捕獲してきた俺は一体いつからこの砂漠にいるのかということだった。

 ……そうか、そういえば彼女達には自分達の置かれている現状すなわちARKについての真実は話したが俺達については彼女達と同じ立場の人間だとしか説明していなかった。

 

 だから彼女達は俺もまたこの砂漠で目覚めて今日までやってきたと思っているのだろう。

 もっとしっかりと協力し合える信頼関係を築き上げるためにも俺の過去についても教えておいた方が良いかもしれない……が、そう考えたところでようやく二つ目の拠点が見えてきた。

 そして同時に思い出した、この拠点は夜に休むためだけの拠点にするつもりだったから熱の籠る石造りにしてしまっていたことを。

 

 これではせっかくたどり着いたのに中で休むこともできない。

 尤も夜になればちょうどいい温度になるのはわかっているし、近場の水たまりはやはり蒸発することなく残っているので水は使い放題だから身体を冷やすこともできる。

 何より最悪はこのままパララ君の背中にある粘土作りの住居内で寝泊まりするという選択肢だってあるのだから致命的なミスではないだろう。

 

 だけどこれからしばらくはここで過ごすことを考えると、やっぱり早いうちにちゃんと休める拠点を完成させておくべきだ。

 だからソフィア達には残りの質問は日が落ちてから答えると約束し、すぐに熱に強い住居への改築を開始するのだった。

 

二百三十七頁目

 

 ああ、人手が多いのって素晴らしい。

 俺が作業を始めるとソフィア達もまた自主的に手伝いを申し出てくれた。

 もちろん有難すぎる提案だったので、取りあえず俺が取ってきた材料を片っ端からすり鉢で粘土に作り替えてもらうことにした。

 

 その際に左手首の鉱石を利用したクラフトの思いつき方などを教えると、彼女達は物凄く感心した……かと思えばもう少し早く気づいていれば自分達で住居を作れたかもしれないのに、と二人顔を見合わせて軽く落ち込んでしまった。

 しかしそうやってやり方を覚えてくれた彼女達は、同じくオウ・ホウさんに指示されて動くルゥちゃんと並んで三人で粘土を作り……更には少ししてキャシーが建材の作り方も思いつけたからとそっちも作ってくれるようになった。

 

 お陰で俺は素材集めと、彼女達が作った建材を使っての住居の改築に専念することができた。

 この調子なら多分、今夜までに男女別に分けた上で全員が寝れるスペースを確保できるだろう。

 ハンスさん達が自主的に動くようになった時も感じたけれど本当に俺一人でやっていたころに比べて効率が段違……そういえばハンスさんはどうしたんだ?

 

 確かにここへ到着した直後は彼の乗るアルケン達の羽ばたく音が聞こえていたから、少し遅れているだけかと思って到着次第彼にも手伝ってもらう気でいたのだが今はその羽ばたく音も聞こえなくなっている。

 作業の手を止めて地上から空を眺めてみたら、何故か来た方向ではない方から彼がやってくるところであった。

 一体どうしてあんなところからくるのか不思議に思う俺の前で、何とかアルケン達を着陸させた彼は何とも申し訳なさそうに頭を下げながらかぎ爪で動物を掴むコツについて尋ねてきた。

 

 何でもここに付いた際に空の上から周囲を見回したところ、砂漠のど真ん中をポツンと一匹だけでうろつくサドルのついたワニを見つけたらしい。

 余りの不自然さに首を傾げたハンスさんだがすぐにそれが自分達が見失った仲間の個体であると気づき、同時に俺が動物を掴んで運んでいたのを思い出したそうだ。

 だから練習がてらそのワニを回収して戻ろうとしたが、何故か上手く掴むことができずこうしてすごすごと自分達だけで引き返す羽目になったのだという。

 

 ……多分ワニは水辺を求めてこんなところまでやってきたんだろうけどそれはともかく、幾らハンスさんが飛行生物に慣れていないとはいえあんなサイズ的にも大きすぎず小さすぎず掴みやすそうな体型の生き物を掴めないなんてことがあるのだろうか?




今回名前が出た動物

ユニコーン
ケツァルコアトルス(ケツァ君)
パラケラテリウム(パララ君)
ギガノトサウルス
ティタノサウルス(超巨大草食)
トゥソテウティス(ダイオウイカ)
イエティ(雪男)
ドラゴン
アルゲンダヴィス(アルケン達)
カプロスクス(ワニ)
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