二百四十四頁目
汗にまみれながら活動していた身体に冷たい水が染み入る……が、日が暮れて一気に周囲が冷えていることもあり暖かいちゃんとしたお風呂に漬かりたくなってくる。
しかし流石に贅沢……と言いたいところだが、前の島ではフローラが水道を製錬炉か何かの上を経由させて水を温めた上で貯水槽を湯船代わりにすることを思いついて実際に作ってくれていたのを思い出す。
それに加えてペイントブラシの形を変えることで歯ブラシを作ったり、果ては左手首の鉱石を見ても思いつかない石鹸や染料の作り方も見つけていた。
……前の島ではかなり文化的で快適な生活を送れていたがそれは電化製品を発明できたからだけでなく、そういう細かい環境面をフローラがしっかり整えていてくれたお陰なのだとはっきりわかる。
改めてクラフト関係においてフローラには敵わないのだと……物凄く助けられていたのだと思い知らされる。
だから右手首を見て浮かび上がった彼女のホログラムに何となく感謝の言葉を告げつつ、後で思い出したそれらの制作を行うことにした。
一から新しい物の作り方を思いつくことはできなくても、彼女から聞いてある物なら流石に作れるはずだから……。
二百四十五頁目
寝間着代わりに新品の布の服に着替えてから住居の方へと向かうと、篝火に照らされた改築された住居が見えてくる。
二階建てで全体的に大きくなってるし特に一階部分などは縦にも横にも高さも結構な幅があり、それこそ今いる全員が入ってもおつりが来そうだ。
……まあ大きな豆腐の上に小さな豆腐が載っているような無骨すぎる形なのはこの際目を瞑るとしよう。
実用面を考えれば見た目など大した意味はないのだし……でもまあこれも後で余裕ができたらせめて斜めの屋根ぐらいはつけて見てもいいかもしれない。
ただそんなことより気になるのは住居の傍にある謎の建造物だ。
それは石の壁が四つ……いや六つほど積み重なったようなちょうどパララ君の背中にいるのと同じぐらいの高さをした細長い塔のようなものであった。
そしてその屋上にははっきりとは見辛いが陣太鼓のようなものが置かれているようだ。
……あれはひょっとして踊りを盛り上げるための櫓……なわけはないか。
そうだとしたらさっき踊るときに使わないわけがないし、だとすると他に考えられるのは安全を確認するための監視塔と言ったところか?
するとあの陣太鼓は、昔の映画でたまに見る半鐘代わり……危険を察知した際に皆へ知らせるために設置したと考えるのが妥当だろう。
まあちゃんと聞いてみないと本当のところはわからないが、ああいうやり方もあったのだと妙に感心させられる。
少なくとも俺やフローラはあんなやり方は思いつかなかった……多分ああいうものがまだ全盛期だった時代の人間だからこそ思いつけた方法なのだろう。
尤もオウ・ホウさん辺りの入れ知恵かもしれないが、とにかく自分では思いつかないようなやり方を気づかせてくれるのを見ると、やっぱり人間の仲間が増えるのはとてもいいことなのだと実感せずにはいられなかった。
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君)