ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第546話

二百四十九頁目

 

 俺の辿ってきた旅路は改めて思い返すまでもなく、とても長い長い苦楽の日々だった。

 だから全てを話したら睡眠時間が殆ど残らない気がして、俺は要点を掻い摘んで話す……つもりだった。

 しかし実際に話し始めようとしたら何を省略していいかわからず、取りあえず最初から思いつく限り語ってみることにした。

 

 初めて目を覚まして最初に見た砂浜の光景、遅れて裸一貫でいることに気づき衝撃を受けたが目の前をブロントサウルスが通り過ぎていき呆気にとられるどころか命の危機を感じて逃げ出したこと。

 こことは違うARKだったのだが当時は知る由もなく南海の孤島へ攫われたのだと思い込み、だけど毒を吐くエリマキトカゲを始めとした危険生物の数々に深く考える余裕もなく身の回りの環境を整えるのに必死だったこと。

 果実を口に含みながら根草を繊維代わりにし、石を拾い木を殴り破片を手に入れ、それらを組み合わせて石のツルハシと斧を始めとして様々な採掘道具を作り始めたこと。

 

 初めて迎えた光源のない夜は伸ばした手先も見えないほどの暗闇の中に響く動物の息遣いは圧倒的な恐怖であり、もう二度と味わいたくないと必死になって一から住居を作り上げ砕いた岩からとれた火打石を使って火まで炊いたこと。

 ひょんなことから気絶した動物にエサを食べさせることで仲間として刷り込ませることができることに気づき、そして無力だけれどARKに来て初めて仲間にしたドーちゃんに沢山愚痴をこぼしたこと。

 そのドーちゃんともう一匹仲間にしたエーちゃんが、作ったばかりの新居と共に攻め寄せてきたスピノサウルスによって奪われ……復讐を誓ったこと。

 

 動物の仲間を増やし鉄の道具と弓矢に落とし穴風の罠まで用意して、象より巨大なスピノと戦いついに打倒したこと。

 スピノを倒せて自分の力に自信が付いたことで、自分のいる場所が何なのか何のために連れてこられたのかを調べるため島の奥地への探索を始めたこと。

 そしてこの砂漠にもある空に浮かぶオベリスク目指し、その後先達者様の日記を見つけたことでオベリスクが何なのかと洞窟の奥にアーティファクトが隠されていると知ったこと。

 

 帰り道で迷い混んだ山の中で偶然洞窟を見つけて、嬉々として挑んだら無数の昆虫と毒ガスに追われて死にそうになりながら逃げ帰ったこと。

 またそこでプテラノドンという飛行生物を仲間にして、空を自由に飛べるようになり活動範囲が一気に広がったこと。

 あちこち探しまわる中で新たな先達者様の日記を見つけて……そこで様々な時間帯から人が連れてこられている事実に、自分もまたどこぞの時間から連れてこられた人間でしかなくもう帰る場所などないのだと悟らされてしまったこと。

 

 余りの絶望に自ら命を絶つことすら考えながら最初の拠点へと戻り…………そうだ、そこで俺は運命の人であるフローラに出会った……出会えたんだ……




今回名前が出た動物

ブロントサウルス
ディロフォサウルス(毒を吐くエリマキトカゲ・エーちゃん)
ドードー(ドーちゃん)
スピノサウルス
プテラノドン
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