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どうやら早めに眠っていたお陰でルゥちゃんは今日誰よりも早起きだったようだ。
それに対して他の女性陣はあれからハンスさんと共にオウ・ホウさんを交えて更に夜更かししていたようで未だにぐっすりお休みなのだという。
しかもオウ・ホウさん曰く結構な質問攻めにあったらしく、彼もまた余り休めていないのだがルゥちゃんが起きて活動してしまうと余り離れられない関係上どうしてもついて回るしかない。
だけど注意力散漫だし万が一のことが起きたら大変だと思い、ルゥちゃんにはこうして身の安全を守れるようカンガと一緒に行動してもらっているようだ。
……しかし夜更かししてまでもっと話を聞きたがるだなんてちょっと意外だ。
あの沈黙は話に聞き入っていたとか質問したいことが多くて整理するのに時間が必要だったとかで、その隙に俺が逃げたもんだからオウ・ホウさんが餌食になったということなのだろうか?
まあそれは他の人達が起きてくれば自然とわかることだし、そんなことより今日一日何をするかを考えるとしますか。
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オウ・ホウさんを休ませる意味も兼ねて、久しぶりにルゥちゃんと二人で活動することにした。
カンガちゃんの袋に納まったまま後を付いてくる彼女は相変わらず感情が薄そうであるが、ほんのわずかな微笑みが浮かんでいるようにも見える。
朝一番で冷たい水で身体を流した後で照り付ける太陽の日差しを浴びて心地よさを感じているのかもしれない。
そんなルゥちゃんを自分のお腹にある袋に収めているカンガちゃんは優しさを感じさせる目で見つめていた。
カンガちゃんが仲間になってから野外で活動する際はずっと一緒に居ることもあってお互いに懐いているのだろう。
元々ルゥちゃん一人では袋から出入りするのが難しそうではあったが、この調子だとあえて出ようとも思わなそうだし少しぐらいなら野外活動しても平気だろう。
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元々この場所は一時的に寝泊まりするだけの簡易拠点として作ったために防壁で囲われてはいなかった。
ただ残していくコレオちゃん達のために素材を余り使わない防柵でぐるりと牧場の様に囲っていたが、改めて見てみれば牧場ごと拠点の周りを囲むように新しい防柵が張られていた。
しかも縦に二重に重ねてあるようで、これなら余程背の高い動物でなければ乗り越えてくることはできないだろう。
考えるまでもなくこれはソフィア達が安全のためにと自主的に考えて設置してくれたようだ。
多分防壁でないのは暗くなるまでに配置しようとして、素材の倹約をすることで採取の時間を省きつつ建材の制作時間も減らそうとしたからだ。
前の拠点でそうだったからとそのまま防壁を採用するのではなく自分たちなりに考えて、或いは話し合って最善の結果を出してくれたのは本当にありがたい限りだ。
この調子でやってくれるのならば、拠点内のことは皆に一任して俺はできる限り野外活動に専念できるのだが……なんてことを考えつつ、取りあえず俺は牧場から護衛と移動を兼ねてアルケン達を二頭だけ連れ出し、そのままちゃんと防柵の一部に設置されていた門から外へ出て様々な素材確保に勤しむのだった。
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後ろから付いてきたルゥちゃんにはカンガちゃんと共に指示する形で近くの草木からの採取を重点的に行ってもらう。
その上で俺は空に舞い上がり小まめに周囲を確認しながら、カンガちゃんが上手に採取できない繊維を鎌で刈り取り、また水たまりの傍にある金属鉱石を採取して回る。
流石に幾ら空から広範囲を見張れるからってルゥちゃんから離れて遠くへ行くわけにもいかないからだ。
もちろんそのせいで取れる物も数も限られてしまうがこればっかりは仕方がない。
まあちゃんとした遠征は皆が起きてからでも遅くはないし、今は手の届くところにある素材の確保に専念しよう。
岩を砕いて手に入る石や火打石に砂なんかはどこでも取れるけれどその分色んな事に使うのだから数は多いに越したことはないのだから。
……そんなことを思いながら採取して回ったら水たまりの端の方で何だか見覚えのある輝きが目に留まり、よくよく見てみれば一応希少素材であるはずの真珠が転がっているではないか。
前の時はちゃんと調べなかったから見落としていたようだがここでも取れたのか……やっぱりこうして拠点の周りを細かく探索するのも大事だな、うん。
……ひょっとしてオベリスクの麓に作った拠点の周りにもこんな風に見落としていた素材があったりして……い、いやあの辺は細かく見て回ったし果実や繊維しか取れない草花はともかく目につく岩石系は全部確認したはずだし流石にそんな……まさかなぁ?
今回名前が出た動物
プロコプトドン(カンガちゃん)
ティラコレオ(コレオちゃん)
アルゲンダヴィス(アルケン達)