二百六十頁目
民謡だとか伝説の生き物だとかを気にしていたソフィアだが、実は元々読書が趣味であったという。
だから世界中に伝わる様々な物語を読んでいたようで、当然あの有名な三国志も……演技がどうとか言っていたが、とにかく知っていたそうだ。
そんな彼女が当時を生き抜いていたオウ・ホウさんに興味を示すのは、当然だったのかもしれない。
俺に向かって目を輝かせながら早口で昨夜聞いたであろう話を捲し立てるソフィアを見ていると、何となくオウ・ホウさんの疲れっぷりが理解できた気がした。
何せ口ぶりからして俺が知らなかったオウ・ホウさんの上司である将軍のことも知っていたらしく、更にそこに関連する形で当時の時代に居た俺でも名前を知っている武将の話まで聞き出しているようなのだから。
……この調子だと多分昨夜は殆どこの子からの質問攻めにあって休む暇なかったんだろうなぁ。
実際に彼女の視線が気になって尋ねた俺に対してオウ・ホウさんが三国志の出身だと知っていましたかと返してきたかと思えば、それに答える形で自分も三国志の話を少し知っていると言っただけで同志を見る目になりこうして捲し立て続けている始末なのだから。
……ギエンにキョウイにリョカ、リクコウにヨウコ、それにモウタツにショウカイに……って本当にどれだけの人物について根掘り葉掘り聞かれたのやら……あ、でも今の司馬懿仲達は知ってるけど、それを言ったら余計に食いついてきそうだし反応しないでおこう。
二百六十一頁目
いつ果てることもなく続くマシンガントーク……今はトウガイさんと例の司馬懿さんが会話をしているところにオウ・ホウさんが居合わせていてその内容が、と鼻息荒く語ろうとするソフィアを何とかなだめようとする。
どうも歴史を知っている彼女からすると物凄く興奮するポイントのようだが、このまま付き合っていたら冗談抜きに日が暮れてしまいかねない。
引っ越した直後で余裕があるとはいえ時間を無駄にはしたくないし、何より先ほどのアンキロたちが野生の肉食に襲われないうちに保護しに行きたいのだから。
尤もアンキロはともかくアルマジロは傷を負うと丸まることで外敵の攻撃をシャットアウトできるため生存率自体は高い方だが、こうなると今度は麻酔矢も通らなくなり仲間にもし辛くなってしまう。
だから彼女の息継ぎするタイミングを見計らって強引に割って入り、何とか事情を説明すると少し冷静になったのか恥ずかしそうに頬を赤らめながらルゥちゃんの乗るカンガちゃんの面倒を引き受けてくれた。
……ふぅ、これで自由に動けるぅ……何だか妙に疲れちゃったなぁ……キャシーに比べたら積極性に劣るかと思ったけれど、意外とソフィアも自分の趣味の分野では押しが強いみたいだな。
まあ彼女達の協力で得られる労力を考えればこの程度の苦労は全然安い、というより可愛いものだ……うん、今も後ろから続きは後でとか不穏な言葉が聞こえた気がしたけど気にしない気にしない……
今回名前が出た動物
アンキロサウルス
ドエディクルス(アルマジロ)