ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第559話

二百七十六頁目

 

 余りの衝撃に我を忘れてしまったが、カプセルを通り越す寸前で何とか正気を取り戻すことができた。

 しかしあれは本当に何だったのか、いくら考えても答えはわかりそうにない。

 もちろん経験豊富な俺にわからないことが他の二人にわかるはずもなく、彼女達も正気に戻ると同時に俺へ質問攻めしてくる。

 

 ……まあ驚きだけの俺と違って、どこか興奮というか高揚している風なのは流石というかブレないというか。

 まあ初めて見たからというのも理由として大きいのだろうけれど……なんたって巨大な動物ばかりのこの環境ですら、あそこまで規格外なサイズの生き物は珍しいのだから。

 ただいくら聞かれてもあの翼がなく空を飛ぶ能力を持っていない超巨大な草食が何もない場所から振ってくる理由なんか思い当たるはずもない。

 

 それこそゲームか何かならバグ挙動を疑うところ……バグ?

 ……そういえばハンスさんが言っていたじゃないか、この砂漠には異常が発生しているって……まさかあれも生物の補充に関するシステム辺りがエラーを起こした結果なのではないか?

 

二百七十七頁目

 

 先ほどのショックが大きすぎたのか、二人は着地してもなおカプセルではなくあの超巨大な草食が居た方に意識を取られているようだった。

 実際に俺としても何となく気勢が削がれてしまい、もうササっと回収して帰りたい一心で手を伸ばして……出てきた設計図を見て一気に気持ちが盛り返してくる。

 何故ならそれは今現在最も頼りになる動物であるコレオちゃん達用の高品質なサドルの作り方が書かれているものだったからだ。

 

 相変わらず素材の消費量は原始的な物と比べて跳ね上がっているが、これを装着すれば動物の身体はがっちり保護されるようになり半端な攻撃ではビクともしなくなる。

 それこそあの岩の建材にすら罅を入れられるゴーレムの一撃ですら耐えられるかもしれない。

 ……まあそれでもコレオちゃん達にとって最大の武器である出血攻撃が効果を成しそうにないゴーレムを相手にさせるわけにはいかないのだが、洞窟などの危険な場所へ出向いた際にはかなり役になってくれるはずだ。

 

二百七十八頁目

 

 目的を達成した今、いつまでも砂漠のど真ん中に立っていても仕方がない。

 だからまだあの超巨大な草食に後ろ髪をひかれてるっぽい二人を連れて一旦拠点へ引き返すことにした。

 しかし帰る途中でも二人から……ではなくキャシーから再び質問に次ぐ質問が飛んできて困ってしまう。

 

 あれを本当に仲間にできたのかとか、乗り心地はどうだったとか……一応前にも話したはずなのだが、余りにも実物が規格外なサイズと予想外な登場をしたせいで改めて興味を引いてしまったようだ。

 それに対してソフィアは未だに超巨大な草食の方を振り返りながら、何かぶつぶつと怪しげな呪文のような言葉を呟き続けている。

 聞き取れる範囲でも『尾は杉の枝のようにたわみ……』だとか『骨は青銅の管、骨組みは鋼鉄の棒を……』などまるで中二病……独特な表現ばかりだが、真剣な様子でぶつぶつ呟き続けている姿はちょっと……いや結構怖いです。

 

 キャシーはそんな彼女を気にしていないのか、それとも変に突っ込んで恥をかかせまいと気を使っているのか俺への質問ばかりでそっちに話しかけようとはしなかった。

 俺としても今のソフィアには話しかけ辛いのでキャシーの質問に答え続けることにしたが、流石に聞くことも無くなった辺りで思い出したように先ほどのカプセルの話題を切り出してきた。

 ちゃんと見てなかったとか、わざわざ連れて来てもらったのに失礼でしたねと謝罪したりしながら何が出てきたか尋ねてくる彼女に実際に見せた方が早いと思い設計図を渡してあげた。

 すると設計図という時点で余り興味がなさそうであったが、動物に付けるサドルだとわかると少しだけ興味を引いたようで中身に目を通し始めた。

 

 しばらくして顔を上げたキャシーはこの設計図に書かれている『ティラコレオ』という名前の動物が俺達の拠点にいるのと同じ種類の生き物だと気付いたようで、遅れながらにこれの価値を悟ったように喜びの声を上げるのだった。

 同時に俺が動物に付けている名前が大体種族名から捩ったものだと思ったようであり、道理で珍妙に感じるニックネームばかりだったわけデスネーと言われてしまい……ちょっと泣きたくなるのだった。

 ……ぐすん、どうせ俺にはネーミングセンスはありませんよぉだ




今回名前が出た動物

ティタノサウルス(超巨大な草食)
ティラコレオ
ロックエレメンタル(ゴーレム)
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