百八十頁目
他のラプトルが片付いたことでガメラとトトもスピノと特殊個体のラプトルとの戦いに加わり三対一となった。
流石にそうなるとあの特殊なラプトルも苦しみ始め、悲鳴を上げ始めた。
それでも少しの間は抵抗していたが、ついに力尽きて倒れ伏したではないか。
改めて周りを見回しても、新手のラプトルなどは見当たらない……これでとりあえずの襲撃は止まったようだ。
ほっとしたところで傷だらけの仲間たちを気遣いつつ、一応倒したばかりの特殊なラプトルを調べてみようと近づいた。
だけれども陸地に引き上げて眺めてみても何も分からない……ただの身体が大きなラプトルにしか見えなかった。
だから仕方なく普通に解体していくが、妙に肉質が良くて霜降り肉が大量にとれるではないか。
先ほどまで自殺すら考えていたというのに、現金なことにこれを焼いて食べた時の味を想像して何やら涎が垂れそうになる。
しかし嬉々として斧を利用して解体していたところで、刃先に何かがぶつかる感触がした。
訝しみながら慎重にその部分を解していって、胃袋を解体したところでとんでもない物を見つけてしまう。
それは鉄でできた斧だ……それも俺が持っているものよりも精巧に出来ている立派な物だった。
どう見ても人工物なそれが動物の体内から出てきたことに驚くが、さらに探ると布の防具と……メモ書きのレシピが出てきた。
メディカルブリューと書かれたそのレシピの飲み物は、体力を急激に回復させる効能があるという。
だけどそれ以上に俺が気になったのは、そのレシピの隅に書かれているサイン書き……ロックウェルと記されているその文字だった。
まさかこれはロックウェル氏の遺品……彼は斧などの持ち物と一緒にこいつに食べられてしまったのでは?
だけど彼の日記が見つかった崩れ落ちた建物は何百年も前の物だったはずだ。
つまり彼自身がこの島にいた時期も……それにしては妙に小ぎれいと言うか、つい最近飲み込まれたもののようにしか見えなくて混乱が収まらない。
それでも何とかそれらを抱えながら、まずは落ち着こうと仲間と共に拠点へと舞い戻った。
あちこち壁が崩れているが、本命の俺の住んでいた建物部分は何とか無事に残っていてくれた。
だから中に物を閉まって、残っている資材を利用して最低限周りの防壁を修復しようと扉に手をかけたが何故か全く開かない。
何か詰まってしまったのかと思い、仕方なくドアを叩き壊して強引に内部に入ったところで……ベッドの上にかぶせられた毛布が何やら膨らんでいることに気が付いた。
警戒しながら近づいてみると、毛布が細かく震えている……まるで中に何かの生き物が潜んでいるかのようにだ。
だから俺は、深呼吸しながらゆっくりと毛布に手をかけて……思いっきり引きはがした。
「キャァアアアアっ!!」
そこに隠れていたのは、怯え切った様子で震える全裸の少女だった。
甲高い悲鳴を上げながら、必死にベッドの上で丸くなる少女。
その存在は先ほどのラプトルの件すら吹き飛ばすほどの驚きを俺に与えてくるのだった。
【今回名前が出た動物】
ユタラプトル
カルボネミス(ガメラ・トト)
スピノサウルス
αラプトル(特殊個体のラプトル)