二百九十八頁目
このままこっちに作った拠点で一夜を過ごしてもよかったのだが、ゴーレムが押し寄せてくる可能性を考えたらやはり皆のところへ戻った方がよさそうだ。
幸いにもまだ完全に日が暮れてはいないし、何よりあっちの拠点には篝火が炊かれていて真っ暗な中でも立派な目印になる。
だから日記を仕舞って飛び上がると目を覚ましてこちらに懐いてくるティラノを比較的安全な拠点の内部に誘導しに行き、それが終わるなり再びアルケンに乗って来た道を引き返し始めた。
そして戻った際に皆へ話す内容を考えたところで、ふと出かける前に聞いたお土産という言葉を思い出した。
確かみんなが言っていたのは日記に銃にエレメントダスト……まあ冗談半分だろうけれど偶然ながら日記は手に入ってしまった。
こうなるとどうせなら全部見つけてやったら面白い様な気がしてくる。
だからカプセルやTEK生物を見落とさないよう帰り道も地表と周囲を注視しながら進んでいると、先の方に青く光るカプセルが落ちてくるではないか。
ほんのばかり帰り道からズレているが、あそこに寄って帰っても距離的に大差はないはずだ。
まあ銃が出てくるかは分からないけれど、せっかくだし回収していくとしますか。
二百九十九頁目
……気分は最悪、とまではいかないが余り宜しくはない。
まさかカプセルを回収しに行く途中で何かを食べているラプトルの群れの中にTEK生物を見つけて軽い気持ちでそっちに向かったせいでここまで俺の気持ちにダメージを残す結果になるだなんて思わなかった。
だけど仕方がないじゃないか、今まで犠牲者自体は結構見てきたけれど肉食に……されている最中を目撃したことなんか一度もなかったんだから。
ラプトル自体はアルケンの敵じゃないから簡単に蹴散らせたけれど……本当に気分が悪い。
いつもならこいつらの死体から素材を回収するところだけど、今回ばかりは見送りたい気持ちが強い。
それでもTEK生物の貴重さを思えば、心境的な問題でこれを見逃すのは余りにも勿体ない……我慢してこれだけでも解体するしかないな。
後は犠牲者の遺体だが……このまま放置するのも忍びないがアルケンで持ち上げて拠点まで連れて帰るのも痛ましいし、この場で丁寧に埋葬させてもらおう。
二百九十九頁目
セメントも持ってきておいたお陰でちゃんと墓石を作ることができた。
これで犠牲者の名前が分かれば刻んでおきたいけれど、色々と探しても見つかるのは例の鉱石だけだった。
ただこれもまたフローラやオウ・ホウさんの物とは違って反応が乏しい感じであった。
だけど万が一のことを思えば取りあえず確保しておこうと思い、結局墓石の下には犠牲者の遺体だけを埋めておくことにした。
……しかし肉食だらけのこの砂漠ではあっさり掘り返されそうな気がして、更にそのお墓を囲むように石の防柵を設置しておいた。
これでこのお墓が野生動物に荒らされる可能性は……何かの間違いで特殊個体やゴーレム辺りに襲われない限りは大丈夫だろう。
…………助けられなくてごめんなさい、こんなことしかしてあげられなくて……ごめんなさい。
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
ティラノサウルス
アルゲンダヴィス(アルケン)
ユタラプトル
TEKユタラプトル