ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第574話

三百十一頁目

 

 日記の内容が内容だっただけに、銃を手に入れて喜んでいたキャシーが何だか申し訳なさそうにしている。

 ……確かに俺達はまだ短い付き合いとはいえ彼女が銃で人を脅すような人ではないとわかっているが、新しい人と出会う際に銃を持っている状況は威圧的に感じられてしまうかもしれない。

 実際に思い返してみれば初対面のオウ・ホウさんが弓矢を構えていた時は動物を連れている俺達と僅かな間とはいえ緊張が走ったような気がする。

 

 ただ別にこのARKで警戒するのは当然だから俺達はお互いにその時のことを後まで引きずったりしなかったが、もし繊細な人間相手だった場合はどうなることやら。

 尤も今の俺には新しい生存者の出会いを思うと自然と昨夜見たあのスモークグレネードの主が思い浮かぶの。

 ……あの人が本当に俺の拠点を漁ったのなら、そんな図々しさがある相手ならそれぐらい気にもしないかと思ってしまう。

 

 またダケイヤ氏の日記に出てくるような乱暴そうな相手と出会った時のことを考えたら、むしろ銃ぐらい携帯して自衛力があるのを見せた方が良い気もしてくる。

 ……などと穏便に人間の仲間を作る方法を考えれば考えるほど悩ましいことが増えていく気がする……だけどこういうのを考えるのも多分リーダーの役目なのかもしれないなぁ

 しかしこうも一々頭を悩ませてしまうと、何だか正直なところ俺ってあんまりリーダーに向いていない気すらしてくる……その辺どうなんだろうねフローラ?

 

三百十二頁目

 

 皆に昨夜はほとんど眠れなかったことを告げて、昼食の時間まで休ませてもらうことにする。

 その際に目を覚ましてから情報交換したいからこの拠点を離れないようさりげなく告げておいた。

 もちろんこれは事実ではあるが、本心としては余り最初の拠点の方へ行ってほしくなかったからだ。

 

 何せあの近くには……あのまま野外で夜を過ごせたのならばだが、あのスモークグレネードを放った人間がうろついている可能性がある。

 まだ俺自身がどう対応すべきかわかっていないのに、ましてあの拠点で起きたこともまだ知らない皆が先に出会ったら物凄く状況が混乱する気がしたからだ。

 ……しかしまた引っ越しの際にでもあの近くを通るわけだし、何れは昨夜見たものを全て説明する必要が出てくるだろう。

 

 できればそれまでにあのスモークグレネードの主とあってどんな人間が確かめておきたいところだし、昼に目を覚ましたら今日はあの最初の拠点付近を探索するのもありかもしれ

ない。 

 ……だけどせっかく昨日見つけたあの谷間も調べたいところだし……ああ、またしても悩みが一つ増えてしまったなぁ。

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