三百十七頁目
ソフィアが用意してくれた昼食を食べながらキャンバスのある部屋で改めて皆からの報告を聞き続ける俺。
なおその間は話し合いが理解できないであろうルゥちゃんに見張り台の上で変わったことがないか見ておいてもらうことにしてある。
もちろん一人でやらせるのは心配だけれど俺より頼りになりそうなオウ・ホウさんも一緒だから問題はないだろう。
だから俺は何の心配もなく皆の話に聞き入っていたのだが、どうもこのキャンバスはソフィアの提案で行ったという。
そういえば出発する前もメモ帳に動物の特徴などを書いて広めることを提案していたけれど、どうやらその延長線上で思いついたことのようだ。
ただ制作のほうはやっぱりハンスさんにお願いしたとのことで改めてお礼を言っているが、当の本人はソフィアのその言葉に照れたように顔を赤く……することなくどこか適当に頷きながらこちらに身を乗り出してきた。
そしてソフィアの話が終わったと思うなり鼻息も荒く身を乗り出し、興奮した様子で語り始めようとする。
……は、ハンスさんが女性陣に動揺するのも忘れるほどこんな興奮するなんて……前にオベリスクに干渉した時も感情的になっていたけれど、今回もそれに匹敵する何かがあったのだろうか?
ただそれほどの出来事があったのならばそれこそ女性陣が我先にと話しだしそうなものだが……?
三百十八頁目
俺の疑問はハンスさんの言葉を聞いてすぐに納得できてしまった。
彼が早口で告げてきた内容……それは旋盤を思いつくことができたということだったからだ。
ハンスさん曰く女性陣に言われて色々作る中で、作業机では手狭だからもっと多くの物を作れるような設備をと考えながらインプラントを眺めていた際に思いついたのだという。
確か旋盤は思いつくまで結構なサバイバル経験が必要になるはずだけれど、ハンスさんはそれが思いつくまでに成長したと判断されたようだ。
……フローラも早かったけどハンスさんはそれ以上だ、けど言っては悪いがあまり野外活動していないハンスさんがどうしてそこまで急成長したことになったんだ?
これもこれでちょっと疑問だったが、他の人達とハンスさんで経験した内容の差を考えてみて……ハンスさんは一応自力で特殊個体のラプトルを駆逐していることを思い出した。
恐らくあの経験が大きかったのだろう……そして未来人であるハンスさんにしてみれば自分の居た文明に近づける設備を思いついたことでこんなにも興奮しているのだろう。
……同時に旋盤という物が余り大衆に広く伝わっていなかったであろう時代のしかも社会に出られない女性であったフローラとキャシーが話を聞いてもピンとこないのも納得がいった。
実際に使っているところを見せれば話は違うだろうけれど、俺が遠征に希少素材も含めて持っていったせいで必要素材が足りなかったせいで作れなかったから一人で騒ぐ羽目になったというわけか。
そりゃあ価値が理解できる&必要素材を殆ど持っていっていた俺が戻ってきたら興奮して話しかけてくるよなぁ。
しかし作り方もそのために必要な素材だってわかっているのに数が足りなくて作れない状況はさぞもどかしかったことだろう……なんかごめんねハンスさん。
今回名前が出た動物
αラプトル(特殊個体のラプトル)
ASAの砂漠、DL長くてまだ終わらない……涙