ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第578話

三百十九頁目

 

 ハンスさんに言われて改めてキャンパスを見て確認して見ても、確かにもう旋盤を作るための素材が採取できる場所は揃っていた。

 金属鉱石は当然として水晶も実際に確保できているし、原油に関しては手元にこそ少ないが緑のオベリスクの付近に地面に埋まっている原油を吸い上げるポンプを設置してある。

 ずっと放置してあるが自動的に動いてくれていたから、多分今取りに行けばかなりの量を持って帰れることだろう。

 

 後はセメントと発火粉に関しても材料となる物はこの砂漠においてあちこちに転がっているようなものなので、旋盤を作るために必要な量ぐらいなら余裕で作れるだろう。

 もちろん動かすためのガソリンも原油と動物の皮で作れるため、複数台ならともかく旋盤一つを運用していく分には問題ないだろう。

 ……何より文明開化するために必要不可欠な第一歩であるのに、どうして材料がそろっているのに気づけなかったのだろうか?

 

 まあちょうど材料が揃う辺りで特殊個体の襲撃やらキャシーとソフィアとの邂逅やらとイベントが目白押しでそれどころではなかったのもあるのだが……これは後で手元にある資源を数も含めて一通り確認し直したほうがいいかもしれない。

 

三百二十頁目

 

 取りあえず旋盤はできるだけ早く作り、移動拠点であるパララ君の背中にでも配置するとして今は話し合いを続けることにする。

 まだキャシーからの報告は聞いていないし俺の成果も話していないし、そうして情報交換を終えた後で誰が何をするかを割り振るつもりだからだ。

 そう思い今すぐにでも動き出しそうなハンスさんを宥めつつ今度はキャシーの報告を聞くことにする。

 

 するとまず話し出したのは例の菜園について……少し恥ずかしそうにしながらハンスさんと協力して作ったという堆肥箱に動物の排泄物と藁を入れることで肥料を作れるようになったらしい。

 尤も肥料になるまでに時間が掛かるため、ようやく今になって作業を始められるようになったらしい。

 だから俺が起きた時に手入れをしていたのかと納得しつつ、それまで何をしていたのか聞いてみれば俺の指示通り拠点の近くで素材を採取して回っていたらしい。

 

 念には念を入れてアルケン達とコレオちゃん達を護衛に引き連れた上で見張り台からソフィアが見守れる範囲での活動に専念したとのことだが、それでも十分すぎるほど素材は集まっているとのことだ。

 実際にキャシーが口にした範囲にしても石や火打石に砂、そして金属鉱石や繊維に各種果実と種といった自然から採取できるものから絹やケラチンに肉と皮など動物から取れる素材まで可能な限り取ってきてくれたようだった。

 その様を上から見守っていたというソフィア曰くキャシーの動物捌きは見事な物で、この辺の肉食との立ち合いにおいても危なげなく悉くを退治して回っていたという。

 

 キャシー本人も自信がついているようで、俺の許可さえ出ればもう少し遠出して水晶などの採取や近場に降りるカプセルの回収に向かってもいいと思うと言ってくれているほどだ。

 ……その言葉自体も頼りがいがあるものだが、それ以上に自信があるにも関わらず自分勝手な判断で遠出しようとしなかった慎重さこそこのARKにおいて非常に重要となる優秀だと思える。

 少なくとも最近色々と慣れすぎて逆に作業の一つ一つが雑になりかけている俺よりずっと適応できているような気が……ハンスさんにもクラフトできる物の思いつく速度で圧倒されている気がするし、もっともっとしっかりしないとなぁ。




今回名前が出た動物

パラケラテリウム(パララ君)
アルゲンダヴィス(アルケン達)
ティラコレオ(コレオちゃん達)
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