三百二十一頁目
キャシーの報告が終わり今度こそ俺の番……と思い口を開きかけたところでそういえばと彼女がコレオちゃんの様子がちょっと変な気がするから後で確認してほしいと付け足してきた。
曰く牧場に居た頃に見た覚えがある症状のような気がするとのことだが、はっきりと分からないからとのことだ。
……多分伝染病か何かを心配しているっぽいキャシーだが、何となく俺にはその症状の答えが朧気に推察できる気がしていた。
何せ俺はあることを目論んであえてコレオちゃん達を雄雌セットでこの場に残してきていたのだから……あれから時間が経っているし、ひょっとしていても不思議ではない。
尤も緊急性のある話でもないため、キャシーの言う通り後で確認するということで改めて今は俺の報告をさせてもらうことにした。
もちろん話すのは青いオベリスク付近であったことだ。
ティラノサウルスというパララ君にも匹敵する巨大な体格の肉食を発見したこと、そしてそのすぐ傍に洞窟の入り口がありそうな谷間を発見したこと、その二つを教えると途端に女性陣が興奮気味に食いついてきた。
すぐキャンパスにそれらの情報を書き加えるソフィアに対し、今すぐにでもそのティラノの実物を見に行きたいと主張するキャシー。
何ならば乗り回してみたいとも言ってくるが、まあこればっかりは仕方ないだろう。
俺とフローラも初めて捕まえた時は興奮して乗り回したぐらいだし、キャシー達も同じ感想を抱いても無理のない話だ。
ただハンスさんだけは余り動物には食いついてこないがこれは本人が動物の扱いが苦手だからというのもあるが、元々ARK計画などに関わる中で見飽きるほどに絶滅動物などに関わってきたからのようだった。
……しかしそのハンスさんが谷の中にマグマが流れていると聞くと、何か神妙な顔つきになり考え出したからびっくりしてしまう。
一体どうしたのかと尋ねてみればハンスさんは何故か女性陣の方をチラ見したかと思うと、物凄く言い辛そうにしながらそこの探索は慎重にした方が良いかもしれないと言ってくるのだった。
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ハンスさんの態度に違和感を覚えたのは俺だけではなく、特にキャシーが何があるのかと問いただしにかかる。
するとハンスさんは少しの間、言っていい物かとばかりに口を閉ざしていたがついには諦めたようにボソボソと語り出した。
何でも今の話を聞いてかつてARK計画に関わっていた際のことを少し思い出したらしいが、確か物凄く熱いARKにマグマの塊のようなヤバい生き物を解き放つかどうか揉めたことがあったという。
何度もシミューレションするほど白熱したらしいが結局その討論がどうなったかはハンスさんには分からないし、その現場がこの砂漠かどうかもわからないから今まで思い出すこともなかったらしい。
しかし今マグマが流れている場所があると聞いて、もしそいつがそこに解き放たれていたら結構ヤバいのではとハンスさんは考えたようだ。
……なるほどね、確かに動く岩のような生き物であるゴーレムが生息しているなら動くマグマのような生き物だって作れても不思議ではない。
そしてそんな不思議生物……というかもう空想上の生き物に一歩踏み出している生物がいると聞けば、女性陣が興奮しないわけがなかった。
果たして話を聞いていたキャシーとソフィアは口の上でこそ確かにそれは慎重に行動した方が、などと言っているがその目は怪しいほどに輝いていた。
……多分俺の許可があれば一緒に行こうとでも考えているのかチラチラこっちを見てくるけれど、あえてその視線に気づかないふりをし続ける俺。
ゴーレムですらまだまともに勝てるかどうかも分からない状況で、マグマの塊のような生き物に襲われるリスクは避けないとダメでしょうが……だからそんな子供のような目で見つめないでください。
今回名前が出た動物
ティラコレオ(コレオちゃん)
ティラノサウルス
パラケラテリウム(パララ君)
●●●●●●●(動くマグマの塊のような生き物・ゲームオリジナル生物)