ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第582話

三百二十七頁目

 

 今更ながらにキャシーはコンパスと地図で自分達の居場所を察するのが苦手であることに気が付いた。

 尤もあくまで苦手というだけであり方向音痴というほどダメダメではないようだ。

 実際に最初の移動の時は緑のオベリスクという非常に目立つ目印があり、そこを目指すことで迷わず到達できたぐらいだ。

 

 だから戻るときも自分なりの目印として赤いオベリスクの方角を目指すことで拠点に近いところまで戻ってくることはできた。

 ただ細かい位置が分からず今はウロウロしながら拠点を探し回っているが、大まかな方向が大幅にズレそうになると慌てて軌道修正する辺り時間さえあれば問題なく帰り着けそうでもある。

 ……しかしこの調子だと近場ならば一人で野外活動してもらっても大丈夫だろうが、遠征する際には誰かと一緒の方がよさそうだ。

 

 そんなことを考えながらフラフラと移動していたところ、また少し迷ったのか最初の拠点がある方に向かって少し戻り始めてしまう。

 それでもやっぱり俺に言われる前に気づいている辺り、及第点は与えてもよさそうだな。

 ……何だかコンパスより太陽とか影とかを利用して無理やり正しい方向を導き出しているように見えるのは気のせいだろう多分。

 

三百二十八頁目

 

 元々出かけた時間が遅かったのに加えて帰り道で余計な時間を使ったせいで、拠点にたどり着いたときにはもう夕焼けも終わりそうになっていた。

 まだこの後でソフィアがどれだけ野外活動できるか試すつもりだったが、これから出かけてたのでは真っ暗になってしまう。

 幾ら何でも夜間に野外活動をさせるのは……いや俺がするのだってできれば避けた方が良いし、明日に回したほうがよさそうだ。

 

 そんなことを考えていたこともあり、拠点に戻った俺達はまず見張り台の上にいるソフィアの元へと向かったのだが俺達が何か言う前にソフィアの方が心配そうに大丈夫だったかと尋ねてきた。

 予想より遅く帰ってきたから何かトラブルに巻き込まれでもしたのかと心配していたのだろう。

 だから五体満足な姿を見せつつ何もなかったと告げると、ソフィアは安堵した様子を見せたかと思うと次いでこの後どうするのか不安そうに尋ねてきた。

 

 そんな彼女に予定は明日に延期することを告げるとすぐにほっとした様子を見せる。

 ……ただでさえキャシーと違ってあまり野外活動に慣れていないソフィアにしたらこんな時間から行くと言われたらどうしようと思っていたのだろう。

 俺としてもそんなソフィアの態度から良い意味で慎重さを失っていない様子が見て取れて、むしろ安堵してしまう。

 

 ……もしくは単純に女性二人で拠点も作れず夜中を過ごした記憶のせいで過剰に脅えている可能性もあるけれど……あれは本当におっかないからなぁ。

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