ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第590話

三百四十四頁目

 

 ソフィアは帰り道もちゃんとコンパスを使いこなし、迷うことなく一直線に皆の居る拠点を目指し進んでいく。

 しかも途中で帰路とは少し外れるが今の一から近いところに青いカプセルが下りてくるのを見ると回収してから戻りませんかと聞いてくる余裕すらあった。

 キャシーと違って寄り道しても迷う心配はなさそうだし回収しに向かったが、その際にもカプセルまでの通り道で見かけた野生動物の動向を観察していたようで、同じ方向に向かっている中でも比較的足が早めなラプトルの群れを退治しておきたいとも提案してくる。

 

 本当に大した観察力だし安全をちゃんと考えられている……尤も動物の扱いに自信がないためか、実際に駆除しに行っても戦闘面では色々と手間取ってしまい結局俺が殆ど一人でやることになってしまう。

 逆に言えば動物の扱いに関する面だけ何とかなればソフィアは遠征時に大活躍できるだろう。

 ……つまりはキャシーと組めば仲の良さもあって、お互いの短所を補えるベストパートナーになれるはずだ。

 

 だから拠点に戻った後はやはり二人で組んでもらって野外での活動を本格的に行ってもらおうか、なんて考えてながらカプセルを回収すると中から何と二つ目となる原油ポンプが現れたではないか。

 あそこ以外にも原油が湧く場所があるのかは知らないが、もちろんバラシて荷物に詰めて持って帰ることにする。

 ……ちょうどいいから、ソフィア達に最初の遠征を頼む際はこれの設置場所も探してもらうとするかな?

 

三百四十五頁目

 

 ああ、何でこんなことになってしまうのか……ソフィアの観察力の高さがこんな形で仇になるとは思わなかった。

 カプセルを回収して飛び上がった後、改めて拠点へ帰ろうとしたところでソフィアは離れたところの地上で不自然な光が反射していることに気づいたのだ。

 言われて俺もその不自然にチカチカ揺れ動く光に気づき、ソフィアと一緒に望遠鏡で覗き込んだ先に同じく望遠鏡でこちらを観察している人影を見つけてドキッとした。

 

 全身を俺と同じこの砂漠用の装備で覆っているそいつはアルケンの背中にいる俺達に気づいたのか分からないが、すぐにさっと身を翻して近くの岩場の陰に隠れるようにしてその場を立ち去ろうとする。

 ……アルケンという大鷲の姿に危険を感じて逃げたとも思えるが、こちらから離れていこうとする姿に俺はどうしても前にスモークグレネードを使っていた人の姿が重なって見える。

 もしかしてあの人がそうなのだろうか? しかし何でこんなタイミングで……と疑問を抱いたところで、前にも俺が回収しなかったカプセルが誰かに回収されたかのように消えていたことがあったのを思い出す。

 

 ちょうど今俺達か回収した青いカプセルを目指していて、それが消えたから望遠鏡で何が起きたのか確認していたと考えれば辻褄が会うような気がする。

 ……だけどどうしてソフィアと一緒の時に……いや彼女が居なかったら望遠鏡のレンズが反射する光に気づけず立ち去っていたかもしれないけれど、それにしてもタイミングが悪すぎる。

 現にソフィアは事前情報が全くなかっただけに新たな生存者の存在に大いに驚きながらも、見失わないうちに追いかけないでいいんですかと訴えかけてくる。

 

 恐らく心配そうな表情からして、この過酷な砂漠に放り出された仲間として気遣っているのだろうが……突然の出会いとはいえ、向こうを警戒している様子は余り見受けられなかった。

 ……考えてみればソフィアはここに来てからキャシーを初めに俺達という協力し合える人間と立て続けに出会っているから、騙すような人が来る可能性が頭から抜け落ちていても不思議ではない。

 しかしどうしても最初の拠点が荒らされていたことが脳裏にこびり付いている俺としてはこんな無警戒状態のソフィアを連れていくのは心配で仕方がない。

 

 ……ソフィアを一旦拠点に戻してから一人で会いに行きたいところだけれど、今すぐ追いかけないと次に出会えるのがいつになるか分からない……どうするかなぁ?




今回名前が出た動物

ユタラプトル
アルゲンダヴィス(アルケン)
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