ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第594話

三百五十二頁目

 

 この食物が腐りやすい砂漠において原始的な造りである食料保存庫はとても役立ってくれていた。

 しかし冷蔵庫ができてしまった以上、こちらを利用した方が良いに決まっているため早速中身を入れ替えにかかる。

 その際、消費期限の差について考えたことで前に手に入れていた塩と硫黄を合わせることで食料保存塩が作れることを思い出した。

 

 他に優先すべきことが多かったのでついつい作るのを後回しにしていたが、この際だからと作ってみたがこれまた性能が良く分からない。

 多分それこそ食料保存庫に入れた発火粉の様に、一緒に入っている食物などの水分を飛ばすことで腐りにくくするのだろうと思う。

 ただそうだとすると冷蔵庫で使用しても余り効果はなさそうだし、食料保存庫の方なら発火粉と合わせてより効果を発揮してくれるかもしれないがそれでも冷蔵庫には敵わないだろう。

 

 一応検証のためにと思って最低限の数だけは作ったが結局使い道など思い浮かばず、かといって残していっても場所を取るだけの気がして取りあえず荷物の中に一緒に入れておくことにした。

 ……もしこれで荷物の中に入っている果実などが腐るまでの時間も伸びるようなら、携帯食用を持ち出す際に利用するのはありかもしれないけれどそんな都合よくいくだろうか?

 

三百五十三頁目

 

 食料を入れ替えるついでに皆そろっていることもあり、このままここで食事を取ってしまうことにする。

 ついでに今日の予定も含めた話し合いも行ってしまうことにしたが、そこで聞いてみたところどうやらハンスさんはこのままここに残って更なるクラフトを続けたいようだ。

 そして付け加えるようにチラリとキャシーへ視線を向けたかと思うと、できれば彼女にも協力してもらいたいところなのだがと小さく呟いた。

 

 ハンスさんの口からそんな要望が出るとは思わず少し驚いてしまうが、一緒に話を聞いていたキャシーが自慢げに胸を張りながらあれぐらいの狩りならお任せくださいと言ってくる。

 詳しく話を聞いてみると、どうやらこの冷蔵庫を作る際にも二人は協力して事に当たっていたらしい。

 具体的には現時点で全く足りていないポリマーを自作するために必要となるセメント……の材料となるキチンやケラチンの調達をキャシーが一手に引き受けてくれたようだ。

 

 ……確かに考えてみれば黒曜石は山に行くたび持ち帰っているし、セメントの調達をキャシーがやってくれるのならばハンスさんはクラフトに専念して更に新しい物を作れるわけだ。

 発電機と旋盤に続いて冷蔵庫まで作って貰えた事実もあることだし、このまま二人で組んで拠点を充実させてもらうのもありかもしれない。

 ただキャシーにはソフィアと組ませて大っぴらに遠征してもらう選択肢もあるわけで……うぅん、悩ましいところだなぁ。

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