ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第595話

三百五十四頁目

 

 ソフィアに今日何をしたいかも聞いてみたところ、また遠征に行って色々見て回りたいとのことだが、その前に動物の扱いにもう少し慣れておきたいと言ってくれた。

 どうやら午前中の活動で色々思うところがあったようで、もう少しアルケンだけでも上手く立ち回れるようになっておきたいようだ。

 またキャシーもティラノを始めとした強力な生き物の捕獲に行きたい気持ちもあるけれど、冷蔵庫という素晴らしい物品を見たことでこのままクラフトに協力したいという気持ちも湧いているようであった。

 

 後、一応残っているルゥちゃんにも声を掛けようとしたがカンガちゃんの袋の中でご満悦そうにジュースをチューチュー啜っている可愛らしい姿を見たら何を言う気も無くなってしまう。

 またカンガちゃんもそんなルゥちゃんを自分の子供の様にでも思っているのか、何となく慈愛の籠った眼差しで見つめながら袋の上から軽く撫でている様子であった。

 ……仕方ないので傍に浮かんでいるオウ・ホウさんにお願いして可能な範囲でハンスさんのクラフトに手を貸すよう指示を出すだけにしておいた。

 

 そしてキャシーとソフィアには今日一日は二人で協力して近くの山からの素材回収とポリマー造りのためのキチンケラチン狩りを行ってもらうことにした。

 こうすることでハンスさんがクラフトに使うための材料が手に入る上に、キャシーと一緒に行動することでソフィアは動物の扱いについて学ぶことができるはずだ。

 また近くの山まで行って戻ることで俺抜きで遠征するための練習にもなるはずだし、何よりこれで皆の要望はある程度満たせるはずだ。

 

 ……さて俺はどうしたものかな……冷蔵庫ができた勢いでハンスさんに協力して更なる文明開化のために科学作業台や工業炉の制作に向けた活動をしてもいいし、ティラノの捕獲のために青いオベリスクへ向かってもいいし……一人で今度こそ最初の拠点へ向かって人探しをするのもあり、なのだろうか?

 

三百五十五頁目

 

 少しばかり考え込んでいた俺にソフィアはそっと近づいてきたかと思うと、例の人のことを話しておかなくていいのかと尋ねてくる。

 多分純粋に情報共有しておいた方がいいと考えているのもあるが、恐らく先ほど一緒に居ただけあって俺が何を悩んでいるのか察した上でそれとなく皆と相談することを提案してくれているのだろう。

 ……正直まだ思うところはあるけれど、人を疑うより信じたいと言ってくれたソフィアを見ていたら皆もわかってくれるような気がしてくる。

 

 あれだけさんざん悩んだ果ての結論にしてはお粗末かもしれないが、結局俺は皆に例の人のことを話してしまうことにした。

 もちろん前の拠点が荒らされていた経緯も含めて……すると事前に想像していた通り、事情を知らなかった二人は困ったような不安そうな様子を見せる。

 それでも誰一人として向こうと接触するのを控えようと言い出しはしなくて、むしろキャシーなどはこんな危険な土地に一人でいるのは心細いだろうから早く接触するべきではとと提案してくる。

 

 それこそ協力できるかどうかについては後で事情を聴いてからでも判断できるけれど、一人でいる辛さに耐えきれず命を絶つような結果になってからでは何もかも手遅れになるからと……やっぱり立派だなキャシーも……。

 そんな彼女の意見にソフィアも同意を示し、残るハンスさんは微妙そうな顔こそしているが肉食獣に襲われる恐怖は良く分かるからとこちらも頷いて見せた。

 皆がそこまで言ってくれるのなら何の憂いもない……何より俺もソフィアが言っていたように誰かを疑うより信じたい気持ちは強い。

 

 まあ気を抜いて変に付け込まれないよう油断こそしないようにするが、取りあえず今度こそ俺は例の人を探しに行くとしよう。




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン)
ティラノサウルス
プロコプトドン(カンガちゃん)
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