三百五十六頁目
取りあえず今日のところは他の皆には先ほど話し合った通り拠点周りでの作業に集中してもらい、俺一人で最初の拠点の辺りを探索して回ることにする。
これで見つからなければ明日以降はみんなで一緒に探しに行くことになりそうだ。
何ならばその際に資材を持って行って、あの場所に新しく拠点を作るのもいいかもしれない。
まだもう少しここに残っていてもよさそうだけれど、一か所に長く滞在したら動物の襲撃が起こることを思えば、頻繁に引っ越せるよう拠点は多めに用意しておいた方が良い。
もちろん非常時に逃げ込む場所としても拠点はあればあるだけ良い……それこそやってきたばかりの人が逃げ込んで命拾いできるかもしれない。
……ちょっとだけまた誰かに泥棒に入られる可能性が思い浮かぶが、人を信じると決めた以上は気にしても仕方ないし、仮に物資を取られたとしてもその結果として誰かが助かるのなら良しと考えるしかない。
三百五十七頁目
話し合いも終えて今度こそ飛び出そうとしたところで、そういえばとキャシーが俺を呼び止めてきた。
何かと思って誘われるままに後をついていくと、牧場の片隅で蹲っているお腹の膨らんだコレオちゃんのところまで案内される。
……ああ、やっぱりこの子は妊娠していたんだな。
前に体調不良と言われて軽く確認はしていたけれどまだ断言できる状態じゃなかったから安静にさせておいたけれど、思った通りだったようだ。
キャシーはニコニコしながらコレオちゃんの身体を優しく撫でると、この調子なら近いうちに生まれマスネーと嬉しそうに語っている。
恐らく牧場に居た頃の経験からの話だろうけれど、前の島での記憶が確かならばここでの生き物は生まれてくるのも成長も結構早めだった気がする。
だからキャシーにそれとなく伝えて予想より早くなるかもしれないけれどよろしく頼んでいいか聞いてみると力強く頷いてくれた。
この調子ならば任せておいて問題ないだろう……というか動物関係はもうキャシーの担当として仕切って貰った方が良いかもしれない。
そんなことを考えている俺だったが、その横では一緒についてきたソフィアが何やら顔を赤くして困惑気味な声を漏らしていた。
妊娠だとか赤ちゃんがどうとか言って、お腹と下半身へ視線を交互に投げかけたと思えば近くにいる雄個体であるレオ君の方を見ようとして、すぐに顔を抑えてぶんぶんとかぶりを振るソフィア。
そんな彼女をキャシーは不思議そうに眺めているが俺には何となぁくソフィアが何を考えているのかわかる気がした。
……俺も前の島で初めて動物が生まれるところを見た時は、愛しのフローラと二人きりだったとはいえ色々と連想しちゃったもんなぁ……だけどこの初心そうな反応からしてソフィアって……い、いやこれ以上は失礼だし右手首も傷みそうだから考えないようにしようっと……
今回名前が出た動物
ティラコレオ(コレオちゃん・レオ君)