ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第599話

三百六十三頁目

 

 困ったときは取りあえず左手首の鉱石を見て悩むと思いがけない物を思いついたりすることが稀によくある。

 今回も試してみれば環境からの影響をシャットダウンできそうなテントの作り方が浮かび上がってくる。

 ……いやいやいや、思いついておいてアレだが薄張りの簡易住居みたいなものであの猛烈な熱気がシャットダウンできるとは全く思えない。

 

 しかし今までこうして思いついた物品が想定通りの効果を発揮しなかったことはない。

 それに材料として砂漠用の装備を作れる絹が必要とされている辺り熱には強そうであ……いやいやいや、やっぱり全然納得できない。

 ……だけどこのARKで取れる素材で作った物はそれこそ外見に似合わぬ効果を発揮することも多いわけで、もし仮に本当に冗談抜きにこのテントであの熱波を乗り越えられるのならばそれこそ例の人はもっと前からこの砂漠に居ても不思議ではないことになる。

 

 何せ材料は動物から取れる皮を除けばその辺の環境から採取できる物だけで、制作難易度はそう高くなさそうなのだから……でもたかがテントであの猛烈な熱気を遮れるなんて幾ら何でも信じがたいなぁ。

 

三百六十四頁目

 

 いずれテントについては検証するとして、現時点ではやはりソフィアの言う通り例の人物は熱波が起こった後にやってきたと思って行動しよう。

 つまり白か緑のカプセルがこの辺に落ちてきた時だけ、そこに出向いて待ち構えるのだ。

 そんな俺の考えを後押しするように近いところへ緑の光が差し込めると共に、遥か天空から緑のカプセルが舞い降りてきた。

 

 まだカプセルが地面に着地するまで時間が掛かりそうであるが、すぐそこへ向かうと再び近くの物陰に身をひそめた。

 後はただ待つだけでいい……サボテンスープで喉を癒しつつ、近づく存在を見逃すまいと周りに意識を集中させる。

 しかしすぐに近くをうろつく野生動物の数々に、早めに来たのは失敗したかもしれないという思いが頭をよぎり始めた。

 

 肉食獣だらけの砂漠では息をひそめていても五感の鋭い野生動物共はあっさりこちらの存在を嗅ぎつけて襲ってきそうであった。

 これならギリギリに移動した方がよかったかもと思ったのもつかの間、そこで野生動物の動きに何だか違和感を覚えた。

 ……ラプトルはともかく、あの嗅覚が鋭い狼共がどうしてこっちに反応しないんだ?

 

三百六十五頁目

 

 不思議なことに狼を始めとした肉食達は何故か普段なら反応しそうな距離に居ても俺に気づくことはなかった。

 そうあくまでも俺だけ……一緒に居るアルケンの方には意識が向いているようであった。

 実際にこちらへと向かってきた肉食達は襲いやすそうな体格の俺ではなくアルケンの方を目指しているようであった。

 

 すかさずアルケンに指示を飛ばしつつ、俺も弓矢を使い一気に殲滅していく。

 そうして戦闘を終えたところで死体を処理しつつ何だったのか考えてみると、前の島でのある記憶が思い出された。

 それは虫よけとなる防虫剤を飲んだ際に野生の虫達の反応であり、今回の動物達の反応はあの時とそっくりであった。

 

 しかし今回は動物に気づかれ悪くなる行為はしていないはずなのだが……いやそういえば熱に強いギリー装備には似たような効果があった気がする。

 ひょっとしてこの砂漠用の装備にも同じ効果が……あるのならもっと早く気づいていないとおかしいじゃないか。

 何より同じような装備をしていた例の人影は動物に襲われていたではないか。

 

 つまり他に原因が……と思ったところで目の前に緑のカプセルが降り立ってきた。

 ちょうど死体も片付け終わったことだし、取りあえず悩むのは後回しにして身をひそめることを優先しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???頁目

 

 やあやあやあ、あえて初めましてと言わせてもらおう。

 こんな風に距離を保ったまま紙を使ってのメッセージのやり取りは面倒かもしれないが、私は非常に憶病なもので許していただきたい。

 さてまずは自己紹介させていただくが、私はしがない冒険家でモーリツ・ベニョヴスキーという者である。

 以後お見知りおき頂きたいところであるが、さてこの辺りで貴方のことも聞かせていただきたいのだがいかがかね?




今回名前が出た動物

ユタラプトル
ダイアウルフ(狼)
アルゲンダヴィス(アルケン)
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