第二十章
繊維を束ねて何とか簡易のシャツとズボンそして頭に巻くバンダナ風の帽子の作成に成功した。
我ながらこのような才能があるとは信じがたい……尤も時間は十分にあるし何度もやり直していれば自然と上手くなるものだが。
しかし腕の部分と肝心の足を保護する靴の制作は難航している、一番稼働する箇所であるため繊維だけでは強度が足りないのだ。
何かちょうどいい素材があればいいのだが……などと頭を悩ませていると目の前に件のトカゲが現れたではないか。
一体何匹いるのか……これこそが現在における最大の障害、このあたりにおいて唯一積極的に襲い来る肉食性の獣だ。
深度のある水に入らなければ安全なピラニアや果実等を投げ捨てれば襲ってこないカモメとは大違いである。
逆に言えばこいつさえどうにかできればもう少し広い範囲をじっくりと探索できるのだが……まあ今はとにかく逃げるしかない。
他の草食を見つければそっちへとターゲットを変える性質がある、家の近くのトリケラのところまで走り切ろう。
第二十一章
石を加工して尖らせたものを木材の先端に繊維で括り付け、簡易な槍を作成してみた。
トカゲに対抗すべく作り上げた武器だ、これで安全な距離から刺せばやれるはずだ……刺せればだが。
危惧すべき点はあのトカゲの吐く毒液と自分には生き物を殺した経験がないことだろう。
それでも念のためこれからは護衛用に常に携帯はしておこうと思うが、できれば使うような事態が起きないでほしい。
さて改めて探索に向かおう、衣服に使える素材を探しつつ家を強固にするための資材集めだ。
第二十二章
正直に告白しよう、臨場感と興奮と高揚感……僕は狩りの楽しさをわずかに理解できてしまった。
いまだに手のひらに残る肉を割く感触は気持ち悪いことこの上ないが、それでもあの厄介なトカゲを処理できた事実は喜ばしい。
何より今まで苦汁をなめさせられた相手を屈服させる感動……命を奪っておきながら、いやだからこその優越感か。
全く持って理性的ではないしこんな野蛮な行為に喜びを感じる自分の一面に驚きを隠せない。
だが一応目下の問題が一つ解決したのだ、後悔やら自己嫌悪などは後回しにして今は素直に喜んでおこう。
何せあのトカゲが最後の一匹ではないのだ、これから何度もこういう機会はあるだろう。
慣れなければいけない、この島のおきてに……弱肉強食だ。
第二十三章
一応そこまで大きくはないが厄介なトカゲを何とか克服できた、これからはもう少し探索の幅を広げるべきだろう。
そう考えたとき近くに光の柱が降り立ったため、慎重にそちらの方角へ進んでみることにした。
幾度か道に迷いそうになりながらも、何とか光の下へ辿り着いた僕が見たのは謎のカプセルだった。
近未来的とでもいうのだろうか、見たこともない金属でできた何か……手首に埋め込まれた物体と同じものかもしれない。
何気なく左手で触れると手首の鉱石が淡い緑の輝きを放ち、呼応するようにカプセルも一層強く発光した。
そしてカプセルはまるで空気に溶けるかのように消失した、代わりとばかりにその場に質素なベッドとパチンコを残してだ。
訳が分からないが少なくともベッドはありがたい、パチンコは……まあ使い道はあるだろう多分。
【今回登場した動物】
ディロフォサウルス(トカゲ)
メガピラニア
イクチオルニス(カモメ)
トリケラトプス