ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第60話

百八十六頁

 

 何度も話し合い、一時的に資材を取って来るだけで絶対に戻ってくると約束してもなお少女は俺を離してくれなかった。

 この絶望的な状況で出会えた俺という人間に固執しているようで、片時も離れたくないと半泣きになり拙い知識で誘惑紛いのことをしてまで俺を引き留めようとする様を見たら流石にもう無理は言えなかった。

 だから落ち着かせるだけ落ち着かせて……その隙に麻酔薬を飲み物だと偽って飲ませて眠らせてしまった。

 

 しかしこれもこの子のためなのだ、何の対策も準備できないままここにいては俺も彼女も死を待つばかりなのだから。

 何より先ほどの少女の誘惑のせいで、色々と理性が限界に近づいていて頭を冷やしたいというところもあった。

 だから眠った少女を置いて、改めてテラ君で飛び立つと俺は山肌の拠点を目指した。

 

 そしてどうやってあの子を守るか、何を持ち込むか考えようとして……だけど俺の頭はあの子のことでいっぱいだった。

 元々モテるほうじゃなかった俺があんな可愛い子に懐かれて縋りつかれたのだから仕方がないのだけれど、こんなことで果たして理性を保ち続けられるのだろうか。

 

百八十七頁目

 

 山肌に築いた拠点に戻ったところで、未だに拠点を襲撃している三匹の肉食の存在を思い出した。

 しかしこいつらに関わっている暇はないため、無視して拠点に戻るとササっと素材を回収して……テラ君では運びきれないことに今更気付いた。

 何度も往復すれば話は別かもしれないが、その前に日が暮れるだろうしあの子だって目を覚ますだろう。

 

 一体どうすればと思ったところで、空からあの大鷲が仲間達に奇襲を仕掛けてきた。

 こいつを仲間に出来れば、或いは一度に荷物を運べるかもしれない……俺は一か八かの賭けに出ることにした。

 矢を射かけて俺に攻撃目標を定めさせたうえで、建物の屋根に引っかかる様に位置を調整してディ君に押し込んでもらう。

 

 そうして動きを封じた上で麻酔矢を打ちまくり、何とか眠らせることに成功した。

 早速肉を食べさせながら、何を運ぶか考える俺……鉄資材を加工した防具一式とクロスボウの予備……出来ればここの動物も連れて行きたいところだけれど連れて歩いていては時間がかかり過ぎる。

 何かいい方法でもあればいいのだが……それこそこいつの背中に乗せられれば……いや、流石に難しいか?

 

百八十八頁目

 

 ようやく目を覚ました大鷲にプテラのサドルを改良したような大型のものをつけて、早速飛び上がってみると予想通り大した力強さとスタミナを発揮してくれた。

 移動速度こそ遅いけれどこれならば色々と持たせた上で行動できる……これで動物を掴んで移動出来れば完璧だったのだが、と思ってやってみたら本当に上手くいってしまった。

 流石にテリ君は重すぎて無理だったけれど、レオ君とサーベルタイガーのサーバルちゃんは行けそうだ。

 

 だからまずレオ君を掴んだ状態で、テラ君だけついてくるよう指示を出して最初の拠点に向かって飛び立った。

 同じように空を飛んで後ろから着いてくるテラ君は、俺が乗っていないおかげか長距離を飛んでもスタミナが持つようだ。

 これならば途中でほとんど休まずに戻れそうだ。

 

 何より飛行生物が二匹いる状態は大きい。

 これならいざというとき最悪あの子と共に拠点を捨てて飛んで逃げることもできるだろうから……あの子が納得してくれればだが……。




【今回名前が出た動物】

プテラノドン(テラ君)
アロサウルス(拠点を襲撃している三匹の肉食)
アルゲンタビス(大鷲)
ディプロドクス(ディ君)
テリジノサウルス(テリ君)
ティラコレオ(レオ君)
サーベルタイガー(サーバルちゃん)
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