ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第604話

三百七十五頁目

 

 一番近い緑のオベリスクの麓に作った拠点にある罠を利用して早速TEKラプトルを眠らせにかかる。

 そして餌を与えつつさりげなく身体を調べると、しっかりと機械の身体ながら雌の特徴があるではないか。

 これは本当に繁殖できるのではと思うが、そこで防壁の辺りからバタバタと動物の足音が聞こえてくる。

 

 この拠点を離れてから数日が経過したが動物の襲撃が収まるにはもう少し時間が必要だったのかもしれない。

 まだTEKラプトルは目覚めていないが既に懐いている兆候を見せているため、あえてこのままおいてこの場を飛び去ることにした。

 どうせ繁殖させるにしても雄の個体やらなんやらと準備が必要だし、また後でいいと判断したためだ。

 

 それよりも下手に動物の襲撃を引き起こして、それこそゴーレムを始めとした岩の防壁を破壊できる奴らが襲ってくることの方がずっと怖い。

 だからさっさとこの場から離れたのだが、その際に音がしていた防壁の方を見ると豚が何か鳴き声を上げながらウロウロしているではないか。

 しかも空を飛んでいる俺にすぐ気づくとまるでアルケンの影を追うようについて来ていて、更によくよく見れば背中にはサドルが……ああっ!? 前に俺の指示ミスで離れ離れになった子かぁっ!?

 

三百七十六頁目

 

 まさかあの時に離れ離れとなった子が健気にも拠点まで戻ってきていただなんて驚きだ。

 多分最後に出した指示が追従だったから原油を回収しに戻ってくる俺を見かけては後を追いかけて、ついにここまでたどり着いたのだろう。

 お腹が減りやすい動物なだけにガリガリに痩せている上、傷もついている……よくぞまあ今まで生き永らえてくれたものだ。

 

 頑張ったご褒美にこの豚……いやダドン君に餌をたくさん与えてあげると、美味しそうに平らげ始める。

 そうしてお腹が膨らむと自然に回復力が上がる能力を使い、緑色に光りながらあっという間に傷を癒してしまう。

 そうして万全な状態に戻ったダドン君だが、あえて俺は一緒に連れていくことにした。

 

 この拠点には先ほど捕獲したTEKラプトルがまだ眠っている。

 恐らくもう仲間になっているとは思うけれど、もしここにダドン君を残していって何かの間違いで攻撃されたら目にも当てられないからだ。

 幸いにもアルケンで掴んで運べる生き物なだけに移動に支障をきたす心配はないし、戦力としても自分だけでなく仲間の傷も癒せるこの子は十分頼りになる。

 

 何ならばこのまま野外活動を続けてもいいわけだが……さてどうしたものかな?

 

三百七十七頁目

 

 困ったときは相談とばかりに無線機を使って皆に連絡を入れるが、何故か誰も通話に出てくれない。

 普段ならキャシーかソフィアのどちらかがすぐに反応してくれるので少し心配になる。

 それでも何度めかの呼びかけでようやくキャシーが答えてくれた……が、何やら疲れている様子だった。

 

 一体どうしたのかと思ったが、そこで向こうの無線の後ろからソフィアとハンスさんが騒いでいる声が聞こえてきた。

 悲鳴の様にも困惑して助けを求める声にも聞こえる二人の様子に不安になるが、キャシーはこちらを安心させるようにアルケンの訓練中デシテと答えてくれた。

 どうも新しいクラフトするのに必要なインゴットが大量に焼けるまで皆で動物の扱いに慣れておこうとしたようだ。

 

 安全を確保した状態でソフィアはともかくハンスさんまで面倒を見るとなればそりゃあ疲れても無理はない気がする……と思ったところで一瞬、ルゥちゃんの声まで聞こえて来てびっくりしてしまう。

 どうやらルゥちゃんにも指導してるようだが、狼にすらうまく乗れてなかったあの子まで面倒を見るとなると……それはまあキャシーが疲れるのも無理はないよなぁ。




今回名前が出た動物

TEKユタラプトル
ダエオドン(豚、ダドン君)
アルゲンダヴィス(アルケン)
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