ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第605話

三百七十八頁目

 

 忙しそうなキャシーの手を煩わせないために無線を切ろうとしたが、その前に彼女はソフィアからの伝言があると言ってきた。

 自分が忙しく無線に出れない状態に備えて予め彼女に伝えてあったらしいが、その内容はもし俺が行動方針で迷って相談するようなら外周部の砂漠を探索するのを提案してほしいとのことだった。

 まだまだマップは完全に埋まっているわけではないが、似通った環境ばかりなオベリスクの内側より外周部の砂漠を探したほうが新たな発見があるのではないかとのことだ。

 

 実際に少し前に青いオベリスクの傍に見つけた洞窟のありそうな谷間も外周部の砂漠側に位置していたことを思えば全くもってその通りだと思う。

 もっと言えば前の島でいえば深海に当たるこの場所には未発見の素材が眠っていても不思議ではない。

 ただ問題は前に一度そこを望遠鏡で覗き込んだ際にウジャウジャいた厄介すぎる能力もちな動物の数々だ。

 

 その時は日が暮れかけていることもあり、何か起きたらヤバいとしっかり準備してから探索に来ようと諦めた。

 しかし当時と違ってまだ日は高い……とは言えないが日暮れまで時間はあるし、砂漠用の装備は頭部も含めて完全に揃っている。

 また仲間の動物にしてもアルケンに加えてダドン君もいるため多少の相手なら倒せるだろうし、最悪は非情な話だが耐久力の高井ダドン君を囮にして逃げることもできる。

 

 物資にしてもメディカルブリューやサボテンスープもちゃんと持ってきている上、今のところ肩に乗せたミッキーが鳴く気配もないため怪我&環境対策もばっちりだ。

 これなら着地を最小限に抑えれば無事に行って戻ってくるぐらいできるはずだ。

 ……まあそれでも何かあった場合は無線機で助けを呼ぶことも……そうはならないよう気を付けるけれど……。

 

三百七十九頁目

 

 遂に足を踏み入れた未踏の地では予想通り……いや予想以上の地獄絵図が展開されていた。

 パッと見る限りでもこちらを昏倒させてくる毒持ちのヘビにサソリに装備をボロボロにしてくる酸を持つムカデと、よく洞窟にいる嫌がらせ組がウヨウヨしている。

 そいつらがここに生息しているらしいフンコロガシや迷い混んだらしき瘤付きを始めとした草食に襲い掛かった……かと思えば空からその死体を目指して腐肉処理係と思しき生き物が飛んでいく。

 

 それは前の島にもいた巨大アリに、こちらは初めて見る頭頂部が禿げている肩乗せサイズの鳥……恐らくハゲワシであろう二体で獲物を奪い合わんと地上の肉食とすぐに争い始める。

 これだけ見ても下手に戦闘すると毒と酸でボロボロにされた上に次から次へと新たな敵が襲い掛かってくる修羅のごとき環境だとはっきりわかる。

 ……しかも余り長く争っているとその物音を聞きつけたであろう新たな肉食が二、三匹ほど群れなしながら文字通り鎌を擡げてかっ飛んでくる。

 

 鋭い鎌を両手に持ち鋭い一撃で動物を切り捨てていくそいつらは、前に望遠鏡で見た時に抱いたイメージ通りカマキリそのものであった。

 人より一回りほど大きそうなサイズになったカマキリ達はあっさりと争っていた動物全てを切り刻んで餌にしてしまった。

 どうやら特に攻撃力が高いようで簡単に比較はできないが飛びかかりの一撃はティラノに近い威力を誇っているような気さえする。

 

 その圧倒的な攻撃力に加えて群れで行動していることもあり、この場所にいるどんな生き物もカマキリ達に敵うとはとても思えない。

 恐らく……いや間違いなくこいつらこそがこの外周部における食物連鎖の頂点的存在に違いない。

 尤も耐久力の方は控えめなのかすぐに戦闘が終わったというのに少しとはいえ傷ついている様子で、そこから何か体液のようなものが染み出している。

 

 だから上手いこと分断すれば今の俺の戦力でも倒せなくはないだろうけれど、もちろん幾ら新種でどんな素材が取れるか分からないとはいえそんなリスクを負うほどの価値があるはずが…………ちょっと待て、あの染み出している体液のようなもの粘性と言い色と言いものすごぉく見覚えがある気が……?




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン)
ダエオドン(ダドン君)
トビネズミ(ミッキー)
ティタノボア(ヘビ)
プルモノスコルピウス(サソリ)
アースロプレウラ(ムカデ)
フンコロガシ
ティタノミルマ(巨大アリ)
ハゲワシ
カマキリ
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