ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第608話

三百八十三頁目

 

 外周部の砂漠から脱出し終えた辺りで太陽が地平線の向こうに姿を隠し始めた。

 完全に暗くなるまで時間があるが、今日は朝から十分すぎるほど働きすぎたため流石に休みたくなってくる。

 さっさと皆の居る拠点へ帰ろうと、途中に降りてくるカプセルも色が白だったのであえて無視して最短距離を移動していく。

 

 お陰で今回は日が暮れる前に戻ってくることができた……のだが、何故か着地する前に残してきたアルケン四体にそれぞれ乗った皆が整然と並びながらこっちに近づいてくるではないか。

 ……たった一日で元々移動自体はできていたソフィアはともかく、あれだけフラフラだったハンスさんやすぐに動物から手を離してしまう危うげだったルゥちゃんまでしっかりアルケンを飛ばせる段階まで仕上げるだなんてキャシーの凄まじさに驚いてしまう。

 恐らく牧場の経営者の一人として新人などに動物の扱い方を指導していた経験でもあり、それを活かすことができたのだろう。

 

 尤もものすごぉく大変だったようで、ニコニコしているルゥちゃん以外の三人が非常に疲れ切った様子で俺を見ても自慢するどころか手を振るのが精いっぱいって感じだったりする……皆さん、本当にご苦労様です。

 

三百八十四頁目

 

 あれだけ疲れ切った様子だった三人だが、外周部の砂漠を探索した際の話をすると途端に目を輝かせて食いついてきた。

 ハンスさんは持って帰ってきた有機ポリマーとそれが取れるカマキリに、キャシーとソフィアは砂の中を泳ぐサンドワームに興味津々の様子だ。

 特にキャシーとソフィアはそいつも仲間にできそうデスカとか、麻酔矢を打って試したりはしなかったんですか、とか口々に質問攻めしてくる。

 

 しかし言われてみれば俺もあいつを捕まえられるかどうかが気になってくる。

 実際に見た時は砂場から伝説の生き物が飛び出すインパクトとモンスターパニック映画のようなシチュエーションへの感動めいた想いが強かったせいか、まったく捕獲という考えが頭に浮かばなかった。

 だがもしもあの恐るべき力の持ち主を仲間にできるのならば、これほど頼りになる動物は他にはいな……ギガノトぐらいしかないだろう。

 

 尤もあの巨体だと麻酔矢では効果が薄いかもしれない。

 その場合は超巨大な草食を捕獲した時の様に頭へ衝撃を試して……でもあれはケツァ君がいたからであって同じ移動拠点とはいえ機動力の低いパララ君で上手く代用できるだろうか?

 

三百八十五頁目

 

 夕食を食べ終わりいつも通り焚火の周りを踊り始めるルゥちゃんは俺達は遠巻きに見守っていた。

 その際にカンガちゃんも思うところがあるのか俺達と並んでルゥちゃんを見つめていた。

 しかしそこで不意に服を引っ張られたかと思うと、傍に来ていたソフィアが小さな声で話しかけてきた。

 

 あえて皆に聞かれないように話すからには恐らくモーリツさん辺りのことではないかと思ったが、意外にも彼女の口から出てきたのは外周部の砂漠についての質問ばかりであった。

 具体的な危険性だとか砂以外に何か変わった場所はなかったかなど……一応思い出しながら答えていくと、ソフィアは何とも難しそうな顔になって黙り込んでしまう。

 一体どうしたのかと聞いてみれば、その前にもう一つだけと彼女は赤いオベリスク側の外周部は調べてみたことがあるか尋ねてくる。

 

 少しばかり記憶を思い返してみるが、初めてここに来た時からずっとアルケンを始めとした役立つ生き物や水晶を始めとした希少資源とおまけでそれを守るゴーレムの山の方に意識が向いていてそっちの方にはあまり関心を向けていなかった気がする。

 それを聞いたソフィアは再び悩みこんだかと思うと、自分の見間違いかもしれないから他の二人には言えなかったけれどと前置きしてから……砂漠の向こうに建造物のようなものが見えたというのだった。




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン)
プロコプトドン(カンガちゃん)
カマキリ
デスワーム(サンドワーム)
ギガノトサウルス
パラケラテリウム(パララ君)
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