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谷底にはここでもマグマが流れているようで、薄暗い中でもその赤いラインははっきりと見通すことができた。
また深い谷の壁から巨大な水晶のような結晶が生えているが、見た目的に多分アレは前の島の洞窟で見かけた光源替わりでの奴であり採取はできないタイプだろう。
ただそれを知らないキャシーはあれを手に入れればもう水晶には困りまセンっ!!と感極まった声を出し、どうにかしてぶった切って持ち帰る手段を考えているようだ。
それに対してソフィアはじっと谷の中を見つめていたかと思うと不意にあっ、と声を漏らした。
反射的にそちらを見れば一瞬緑色の光が瞬いたように見えた。
前にもこの谷の中で似たような発光を見た気がするが、あの時は確か青白かったはずなのだがこれはどういうことだろうか?
もちろん前の話し合いでそのことを知っているソフィアも疑問に思っているようでお互いに顔を見合わせ首をひねり合う……がそこへキャシーが俺にあの巨大な奴をぶった切れる道具を思いつきませんか?と尋ねてきた。
どうやらまだあの水晶もどきを持って帰ろうとしているようだが、まあ試す前から無理だと決めつけるのもおかしな話だ。
だから俺は左手首の鉱石を眺めながらあの水晶をぶった切れそうなものを考えるがやっぱり何も思いつかない。
そもそもこれまでだって採取道具なんかピッケルと斧に鎌だけで十分だったことを考えると、これ以上の何かがあるわけが……と思ったせいかそのタイミングでチェーンソーの作り方が思い浮かんだ。
……いやでも同じような事は前の島でも考えたはずなのにどうして今更こんな便利そうなのが思い浮かんだんだ?
使用する素材的に前の島でも作れそうなのにあの時は全く思いつけなかったのに今になってなんでまた……ま、まさかこれならあの水晶を本当に伐採できるとかじゃないよねっ!?
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残念ながら……いやありがたいと言った方が良いかもしれないが、チェーンソーは旋盤でなければ作れないようだった。
お陰で物凄く未練がましそうにしながらもキャシーは今すぐあの水晶を採取しに行くのを諦めてくれた。
思わずほっと胸を撫で下ろす俺……の隣でソフィアもまた安堵したように息を吐いていた。
……多分彼女も俺と同じであの時折瞬く不気味な光が気になっているのだろう。
俺としても何となく嫌な予感がするためあの光の正体がわかるまでは近づきたくない。
しかしあの中がどうなっているのかも気になるわけで、こうなったらもう少し明るくなってから改めて観察しに来た方がいいだろう。
もう女性陣も緑のオベリスク付近の花から採取できた絹のお陰で全身砂漠用の装備になっているため、多少熱くなっても問題ないため真昼間でも行動できるのだから。
ただそれまで時間を無駄にするわけにもいかず、次に何をするかを考える。
すぐに思い浮かぶのは外周部の砂漠にあるあの遺跡だが、あそこを目指すにはサンドワームの存在がネックになるし、やはりここは戦力の充実を図るべきだろう。
そう思ってソフィア達にティラノを捕獲しに青いオベリスクへ向かおうと提案しようとしたところ、下の方から聞き覚えのある咆哮が聞こえてきた。
仲間ならば鼓舞されるが敵対者には恐怖を与えるこの独特な鳴き声は間違いなくモフモフの肉食のものだろう。
実際にそちらに目を向ければカルノンの同種を引き連れながらモフモフの肉食が近くを飛んでいたモスラの同種に襲い掛かっている姿があった。
……そういえばあいつもティラノに近い戦闘力を持っているし、何よりあの鼓舞する力は協力と敵と戦う際に物凄く役立つじゃないか。
おまけにカルノンの同種は頭の角で相手を出血させられる……こいつらをまとめて仲間にすれば血が流れてなさそうなゴーレムはともかくサンドワームと戦う際にはとてつもなく役立つんじゃないだろうか?
今回名前が出た動物
デスワーム(サンドワーム)
ティラノサウルス
ユウティラヌス(モフモフの肉食)
カルノタウルス(カルノンの同種)
リマントリア(モスラの同種)
ロックエレメンタル(ゴーレム)