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朝になる頃にはメディカルブリューとピストルの弾丸はそこそこ揃い、後はしっかりと朝食を取っていざゴーレム退治へ……と思ったところでトラブルが発生した。
拠点を守るための防柵の方が騒がしくなり、様子を見に行けばラプトル共が群れなして暴れまわっていた。
どうやらついにこの場所にも襲撃が発生し始めたようだ……前日にもラプトルの群れが発生しつつあったから予想できていたことだが、まさかこのタイミングで襲ってくるとは。
尤もまだ特殊個体が混ざっているわけではなさそうなので今の戦力ならば駆逐は簡単だった。
ただ念のため倒し残しが近くに残っていないか確認のため、ソフィアと二人でアルケンに乗り高いところから周囲を観察していく。
それでもパッと見たところ厄介そうな動物はいないため、これなら問題なく当初の予定通りゴーレム退治に向かえそうであった。
しかしソフィアは何か気になることがあるらしく、しきりに外周部の砂漠の方へ視線を投げかけては首をかしげていた。
俺もそっちを見てみるがそこに生息しているカマキリがウロウロしているだけで特に気になる点は……いやなんかカマキリ多くないか?
まだまだ距離があるとはいえ六体ほど揃っていて、しかも明確にではないが少しずつこっちに近づいてきているような……いや間違いなく近づいているのだろう。
前の島であったスピノの襲撃を思い出す……あいつは身体がデカく目立っていたから動きがはっきりわかったが、滞在期間に比例して少しずつ近づいてきていた。
……多分襲撃システムはエリアごとに決められているであろう動物の生息地を無視することはできないのだろう。
だからああして強敵を嗾けたいときはああして遠くから移動させてきているのだとすれば納得がいく。
つまりは余り長く滞在すると前に予想した通り山にいるゴーレムも近づいてきかねない……尤も今のところは大丈夫そうであるが、そう考えると今回ゴーレムと一戦を交えておいて戦力差を確認する意義がさらに高まった気がする。
四百五頁目
拠点に戻り改めて事情を伝えた俺はゴーレムと戦いに行かないお留守番組には襲撃に対応するため引っ越しの準備をしておいてもらうことにした。
するとこの段になって本来居残り組だったはずのハンスさんが役割の交代を言い出してきた。
何でも薬が余り多くない現状で危険な戦闘を女性に任せるのは流石にどうかと思ったようだ。
また色々と目端の利くソフィアの方が自分より引っ越しの準備などは上手くできるのではと言い、何ならばキャシーと二人で残って男性陣だけで討伐に行くのもアリではないかというのだ。
……まあ確かにハンスさんの言い分もわからなくもないが、現状では動物と拳銃の扱いに慣れているキャシーが俺に次いで戦力になる。
仮にも未知の戦力と戦うのに、ましてやる気満々な彼女に戦闘経験を積ませる機会を見送らせるのは今後もこのARKで暮らしていくことを考えたら余り良い判断とはいいがたい。
ただソフィアに関しては確かに残って作業してもらった方が良い気もするが、初めて戦う相手で勝てるかどうかも分からない以上その観察力で一緒に相手の挙動や弱点を見抜く手伝いをしてもらえるとありがたいのも事実だ。
だから少しだけ迷うが結局は行きたがっている本人たちの意思を重視して当初の予定通り、キャシーとソフィアを連れていくことにした。
すると今度は少しでも戦力が多い方が安全ではと、ハンスさんも同行を言い出して来て……ただそうなるとルゥちゃんが一人拠点に残る羽目になってしまう。
一応ガイドロボットとはいえオウ・ホウさんもついているしカンガちゃんも傍に居るから置いていっても多分大丈夫だとは思うが……。
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
ユタラプトル
アルゲンダヴィス(アルケン)
カマキリ
スピノサウルス