四百八頁目
予想を超える大戦果……ではあるものの、どちらかと言えば肩透かし感が強い。
まさかあんな鉱物然とした見た目のゴーレムに出血攻撃が通用するだなんて……しかも背が高すぎるせいでカルノンと同じく出血攻撃ができるコレオちゃんの同種による攻撃が別々の場所に当たり、結果として出血が更に派手に飛び散り始めた。
お陰で見た目の頑丈さとは裏腹に……いや実際にユウキィの攻撃でろくにひるまなかったりまともに刺さらない矢なりを見ると、確かに頑丈ではあったのだろうが、出血多量という症状の前には無力であっさりと倒れてしまったのだ。
まあそんな僅かな間の戦闘でも怪力から繰り出される攻撃で前面に立っていたカルノン達はそこそこボロボロになっていたが、それでも致命傷と呼べるほどではなく犠牲は零で押さえられたと言っていいだろう。
……何というかもっと派手に長い一大戦闘になると思っていただけに、本当にうれしさよりも肩透かし感の方が強すぎる。
他の皆も同じような心境なのか、何だか呆然とし……いやキャシーは嬉々として大物を打ち取ったとばかりに大はしゃぎしながら素材をはぎ取りにかかってるし、ソフィアは何か考え事をしながらもやっぱりどこか目を輝かせながら遺体を観察している。
唯一ハンスさんだけは俺の隣で意気消沈して……い、いやこれも多分ゴーレムの岩投げに対するプレッシャーが相まってアルケンの操縦酔いを引き起こしただけっぽいな。
……ハンスさんはともかく女性陣は何だかんだで精神的に頼もしくなってきている、ということなのだろうか?
なんて感慨深げに見守っていた俺の前でキャシーが余りの外皮の硬さに悲鳴っぽい声を漏らした……途端にハンスさんが正気に戻ると慌てて彼女の元へと駆け寄っていった。
……うん、やっぱりハンスさんも修羅場慣れして中々に逞しくなってる……って思っていいのだろうか?
四百九頁目
キャシーが上げた声は確かに振り下ろした斧の反動に対する悲鳴でもあったが、同時に手に入った素材に対する歓声も混ざっていたようだ。
何せゴーレムの遺体からは希少素材がゴロゴロと……水晶に金属鉱石に黒曜石に硫黄、後もちろん石も採取できた。
あんなに生き物っぽく血液を勢い良く流していたわりに手に入るのは見た目通りの素材ばかりであり、しかも体内からトロトロと流れ出てきた液体も何故か血液ではなく原油の一種であるようだった。
まさか野生動物の遺体から原油が採取できるだなんて驚きだが、これは本当に嬉しい発見だった。
何せ他の素材は希少とはいえ取れる場所に行けば一気に採取できる物だが原油に関しては未だに前の島で見た様な塊のある採取ポイントが見つかっていないのだ。
だから原油ポンプが時間をかけてくみ上げた物を取ってくるしかなくどうしても一日に採取できる量に限りがあった。
しかしゴーレムの遺体から取れるとなれば、こいつを狩れる程度の戦力があれば大量に手に入ることになる。
そして攻撃力という意味では既に戦力は足りている……後は被害を抑えるための防御力だが、これに関しては高品質のサドルの設計図があるコレオちゃんの同種の数を揃えて攻めれば行ける気がする。
まあそれはともかくハンスさんも手に入る素材には大喜びなようで、同じく喜んでいるキャシーに手を取られて恥ずかしそうに頬を赤らめながらも一緒に飛び跳ねて喜びを表している。
そんな騒ぎを他所に未だゴーレムの遺体を観察していたソフィアは、特に頭の辺りを重点的に確認しながら俺に前に見た超巨大な草食を捕獲した時のことを尋ねてきた。
余りに身体が巨体過ぎて麻酔矢では効果がなく頭に直接大砲を打ち込んで昏倒させたことを思い出しつつソフィアに告げると、彼女はひょっとしたらゴーレムも同じ方法で仲間にできるかもしれないというのだ。
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
カルノタウルス(カルノン)
ティラコレオ(コレオちゃん)
ユウティラヌス(ユウキィ)