ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第626話

四百十頁目

 

 ソフィアの言葉に驚きを隠せないが、彼女曰く戦いの最中にゴーレムがこちらの攻撃の激しさの余りに持ち上げた岩を投げることができず自分の頭に落としたことがあったのだが、その際に他の動物に麻酔矢を射かけた時の様に一瞬だけふら付いたというのだ。

 俺には確認できなかった出来事だが、考えてみるまでもなく俺はあのゴーレムが身体から激しくまき散らす返り血に意識を取られて乱戦中の向こうの動きをそこまでよく観察できていなかった。

 まして麻酔が効かなかった時点で捕獲よりも戦闘の推移に意識が移ってしまったこともあり、それに対して恐らくソフィアは諦めずにずっと観察し続けていたのだろう。

 

 ……なるほど、確かにこいつは血液が流れているとはいえ取れる素材的にもまともな生き物とは思えない体内構造をしているはずだ。

 そうなると麻酔が効かなくても不思議ではなく、むしろ頭を叩いて気絶させる方法の方が理屈に合っている気がする。

 ただ問題はかつては飛行拠点があったからこそ動く的に無理やり方向転換の融通が利かない大砲をぶち当てることができたのだ。

 

 しかしこの砂漠においては今のところ移動拠点にできる生き物はパララ君しか目にしていない……あいつの背中からゴーレムに向かって大砲を打つのは余りにもリスクが高い。

 まして今の戦闘があんまりあっさりしていたから仲間にする意義もそこまで感じられない気が……あのサイズだと多分洞窟攻略でも使えないし、下手したらオベリスク戦専用になりかねない。

 だから無理に捕まえようとはしなくて良い気がしてくるが、いつの間にか傍で話を聞いていたらしいキャシーが盛り上がってしまったから困ったものだ。

 

 ……しかもキャシーが捕まえようと主張するとソフィアもハンスさんもウンウンと合わせるように頷きだして……みんなの意見を無下にはしたくないけれど、どうしたものかなぁ?

 

四百十一頁目

 

 取りあえずゴーレムの捕獲に対しては様子見……せめて最低でも移動拠点となりうるパララ君の同種をもう一体確保するまでは我慢するように言うとすんなりと納得はしてくれた。

 ちゃんとリーダーである俺の意見は尊重してくれているようでほっとするが、それはそうと次の動きをどうするか尋ねられてしまう。

 ハンスさん的にはこのままもう少しだけ遠征して外周部の砂漠からこっちに近づきつつある例のカマキリを倒して有機ポリマーを採取しておきたいらしい。

 

 またソフィアは引っ越す前に例の谷をもっと観察しておきたいという。

 キャシーとしてはどっちでも良いらしいが、出来れば怪我した動物は休ませておきたいようである。

 もちろん決定するのはリーダーである俺なのだが、取りあえず判断を下す前にルゥちゃんの様子を無線で確認することにした。

 

 するとすぐに元気な返事が聞こえてきたかと思うと、後ろからオウ・ホウさんと思わしき声も聞こえてきた。

 どうやらオウ・ホウさんの指示の元、ルゥちゃんは引っ越しのための準備をできる範囲でしてくれているようだ。

 金属のインゴットを始めとした重たい素材は無理だが、サボテンスープやカスタム料理などを一生懸命にパララ君の背中にある食料保管庫の方に入れているらしい。

 

 ……そうだ発電機は砂で壊れてしまうため、今は動かせない風力発電機で電気系とは代用しているからここを離れたら冷蔵庫はまた使えなくなってしまう。

 だからこそ原始的な発火粉だけで使える食料保管庫を利用しているのだろう。

 更にオウ・ホウさんは連れて行く動物に関しても尋ねてくるが、そこで俺はTEKラプトルのことを思い出した。

 

 ……あいつが繁殖できるかどうかも確かめたいところだし、いっそのこともう拠点に戻ってさっさと引っ越してしまうのも悪くないかも?




今回名前が出た動物

ロックエレメンタル(ゴーレム)
パラケラテリウム(パララ君)
カマキリ
TEKラプトル
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