四百五頁目
慌てて逃げた俺達だが、気が付けば青いオベリスクに近いところまで来ていた。
何だかんだで修羅場には慣れているお陰で、焦りながらも反射的にワイバーンを仲間の方に誘導したら不味いと判断出来たお陰だ。
ただ問題は俺達が仲間達の元へ戻るには途中まで追っていたワイバーンの傍を通るか、大きく迂回する必要がある点だ。
もちろんワイバーンに襲われるリスクを考えたらあいつの傍を通るのは論外だ……が、距離を保ったまま望遠鏡で様子を確認してみると少しずつ谷間へと戻ろうとしているように見えた。
あの場所が縄張りということなのかそれとも戻らなければいけない理由でもあるのかは分からないが、とにかく谷の中に戻ってくれれば取りあえずは安心だ。
まあ途中で獲物を見つけるたびに寄り道して襲い掛かっているので谷の中に戻るまではまだまだ時間が掛かりそうではある。
だから今考えるべきはあいつが谷に戻るまで待つか、それこそ大回りして拠点を目指すかだが……取りあえずソフィアにも意見を聞こうと話しかけようとするが、彼女はまだ恐怖が収まりきっていないのか俯いたまま胸を押さえて荒い呼吸を繰り返していた。
……彼女にしてみれば俺達に会う前を除けば、アルケンに乗っていて非常時には逃走できる状態でしか野生の危険生物とは関わっていなかったはずだ。
それが今再び真っ当には逃げ切れない圧倒的な捕食者に追われる恐怖を味わって流石にトラウマが刺激されたとしても不思議ではない。
そうなると立ち直るまでしばらく時間が掛かるかもしれないが、まあこればっかりは仕方ないし誰かが傍でフォローを……ってなんか震える指先で地上を指し示してるけどあんな岩山に何が……あのアーチ状になっている部分が気になるの…………っ!!?
あ、あの窪んだ道の様になっている場所の途中にあるぽっかりと開いた横穴は……ど、洞窟なのかっ?!
四百六頁目
どうもソフィアは初めて洞窟を見つけた興奮で固まっていただけのようだ。
まあ多少顔色が悪いところを見ると恐怖を感じていたのも事実のようであるが、実際に地上すれすれを飛んで横穴が本当に洞窟であるとわかるといつものように目を輝かせ始めた。
やっぱり逞しく成長しているなぁと思いつつも、同時に彼女の興奮する姿に既視感を覚える。
……きっと俺も前の島で初めて洞窟を見つけた時、こんな顔をしていたんだろうなぁ。
そう考えると何だかおかしくて笑みがこぼれそうになるが、そこで俺が初めて潜った洞窟の内容が連想されてすぐに表情が引きつってしまう。
あの洞窟は毒ガスが満ちていて、しかも結果的に最後から二番目に攻略することになるほど滅茶苦茶難易度の高い恐ろしい洞窟だった。
……まさかとは思うけど、今回の洞窟もこの砂漠で一位二位を争うぐらい危険な洞窟だったりして……うぅ、さっきの炎のブレスと合わせて前の島でのトラウマがぁぁぁ……。
【今回名前が出た動物】
ファイアワイバーン
【今回見つけた洞窟】
Grave of the Tyrants(岩山の洞窟)