四百十一頁目
向こうは陸上生物を引き連れての移動なのに対し、こっちはアルケンで一気に空を行ける。
その速度差は歴然としていることもあり、せっかくここまで来たので近辺をソフィアと共に軽く視察して回ることにした。
まず拠点へと戻りティラノの様子を確認して……とそこで初めてティラノを目の当たりにしたソフィアはその圧倒的な存在感におぉー、と声にならない声を漏らしていた。
そしてサドルがあれば乗り回したかったとも呟いていたが見惚れるほど興奮したわけではなさそうだ。
恐らく先ほど見たワイバーンもどきのせいなのだろう……あれに比べれば流石のティラノでもインパクトでは劣るから仕方がない。
てっきり今回も俺が初めてティラノを見た時のような反応をしてくれると思っていただけにちょっと残念だ……仕方ないのでキャシーに期待するとしよう。
四百十二頁目
俺の目は節穴か……オベリスクのこんな近くに日記があるのに気づけなかっただなんて。
あの時はティラノの捕獲を優先したのと、日記の入っている箱は岩陰にあったから上空から見下ろす形での探索では見つけられなかったのだろう。
……しかし他の日記は大体、近くに建物の痕跡のようなものが残っているのだが今回は箱だけぽつんと置かれていた。
この差が何なのかはよく分からないが、しかしよくよく考えてみれば建築物ですら朽ちるほどの年月が経っているにも関わらず日記とそれが収められている容器がしっかり形を保てているのも不思議だ。
これにも何か訳がありそうだがハンスさんも知らなそうなところを見ると、正確な答えは……多分あの『待つ者』とやらに聞かない限りわかることはなさそうだ。
そんなどうでもいい考察をしている横でソフィアは見つけたばかりの日記を食い入るように読み進めている。
……本当は他の皆と合流してからの方が効率が良い気がするのだがソフィアは我慢できなかったようだ。
まあ彼女が特に気にしていたヘレナ氏の日記だったからこればっかりは仕方ないかな?
四百十三頁目
青いオベリスクに背を向けて移動を始めるが、俺は自分の間抜けさに意気消沈していた。
あんな近くにあった日記を見逃していたのも愚かだとは思うが、まさか二冊もあるとは思わなかった。
もう一冊の方は当時あまり意識を向けていなかった外周部の砂漠に足を踏み入れた地点だった上、例の谷とはオベリスクを挟んでぼほ真逆側だったからついつい見落としてしまったのだろう。
まあ単純にソフィアの観察力が優れているお陰でもあるのだろうが、当の彼女は二頁分の日記を手に物凄く未練がましそうに青いオベリスクの方を何度も振り返っていた。
何せ見つかったもう一頁の日記もヘレナ氏の物だったので、彼女の日記が他にも隠されているような気がしてならないのだろう。
尤も前の島での経験からして日記は一か所にではなく広範囲に広まっているとは思う……のだが二つも見逃していた身としては余り口出しする気にはなれなかった。
……しかしそれはそれとしてこの二つの頁に書かれている内容についても後で皆と一緒にちゃんと読まないとな……フライングして読んでしまったソフィア曰く、結構重要そうなことが書かれているかもしれないとのことだが……
【今回名前が出た動物】
アルゲンダヴィス(アルケン)
ティラノサウルス
ファイアワイバーン(ワイバーン)
【今回登場した日記】
ヘレナの記録(#28/#15)