ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第632話

四百十四頁目

 

 まさかこんな……いや想像しておくべき事態だったかもしれない。

 最初の拠点を作った場所まで戻ってきた俺達が目にしたのは、一部の土台を除いて何も残っていない更地であった。

 そのど真ん中には代わりに自分がここを制したとばかりに鎮座する岩に擬態したゴーレムの姿があった。

 

 どうやらあの野郎は何かのきっかけで再び暴れ出たようで、その結果として俺達の拠点は粉砕されてしまったのだろう。

 ……野生の動物にこうも完璧に拠点が破損されるのは前の島以来であり、当時の悔しい気持ちを思い出す……ことはなくむしろ懐かしさのようなものを覚えた。

 この拠点にはもう何も残っていなかったからこその感情だろう。

 

 また隣にいたソフィアも余りショックを受けておらず、むしろあの良い位置にいるゴーレムでどうにか捕獲できるかを試せないか考えているほどであった。

 これはやっぱり彼女が逞しくなっているというのもあるだろうが、それ以上に女性陣は一度もこの拠点を利用しておらず思い入れが全くなかったのも大きそうだ。

 ……逆に言えばこの拠点に命を救われ、また俺と初めて顔を合わせた場でもあるハンスさんがこれを見たら……まだ来ていないけれど冷蔵庫の件で物資を失った時もショックが大きそうだったし、なんか凄く落ち込みそうな気がするなぁ。

 

四百十五頁目

 

 いきなりこんな光景を見せるより予め教えておいた方が衝撃は少なそうだと思い、取りあえずあのゴーレムと周囲の監視はソフィアに任せて俺は無線機で連絡をとってみることにした。

 しかし返答をしてきたのはキャシーでもハンスさんでもなく、まさかのルゥちゃんであった。

 尤も機器の操作をしたらすぐにオウ・ホウさんに代わってくれたのだが、どうも二人は手を離せない状況であるらしい。

 

 まずハンスさんは移動拠点でも電力を利用できるよう何かできないかと発電機の修理と改良に掛かり切りなようである。

 そしてキャシーは皆を載せている移動拠点のパララ君を操りつつ、十体以上の動物を逸れないよう追従させながらの移動に集中しているようだ。

 もちろん一度手を止めれば無線の対応ぐらいできるだろうが、ルゥちゃんがやる気満々なのであえて彼女の成長を促す意味でも任せているようだ。

 

 ……みんなしっかり自分の長所を活かしてやることやっているんだなぁ、こっちでもソフィアが日記を二つも見つける大活躍をしているわけだし、俺も負けないよう頑張ろうっと。

 

四百十六頁目

 

 やはり拠点が壊れたことを知ったハンスさんはショックが大きかったようで、一瞬手を止めて無線に向かって問いかけてくるほどであった。

 そして悔しそうな口調でそのゴーレムだけは討伐しておかなければと呟いたが、俺もまた同意見で会った。

 何せあいつは前に苦渋を舐めさせてくれた個体のはず……それこそ犠牲になったカルノンに俺は敵を取ると誓っている。

 

 それに対して捕獲を目論んでいた女性陣からは文句が出る……ことは特になかった。

 何だかんだで二人きりだった頃に酷い目を見ているためあいつの脅威は理解できているのだろう。

 ただどうせ駆逐するにしてもやっぱり捕獲可能かどうかは見定めておきたいから、前に俺が超巨大な草食を捕まえた時に使ったような相手の頭に衝撃を与えられる武器を試しておきたいとだけは言われた。

 

 ……確かあの時は大砲を使ったはずだけれど、あれって打ち出す弾も含めてものすごぉく鉄とかセメントとかが作るのに必要になるはず……で、出来れば工業炉と科学作業台ができるまでは手を出したくないし他に同じような衝撃を与えられそうな代用品が欲しいところだ。




今回名前が出た動物

ロックエレメンタル(ゴーレム)
パラケラテリウム(パララ君)
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