四百二十二頁目
皆で手分けして再びこの場所に拠点を製作し始めた俺達。
その素材もまた前と同じように住居部分は熱に強い粘土で作り、その周りを石造りの防壁で囲む形にする予定だ。
もちろん石だとまたゴーレムに襲われて壊される可能性はある。
しかしそもそもあのゴーレムは他の場所から紛れ込んできただけの個体であり、最初の場所なだけに本来はゴーレムのような強敵は湧いてこないはずだ。
だからあのゴーレムを排除した今、もう石の素材で出来た拠点を脅かす脅威は存在しない……はずだ。
まあ純粋にあれ以上の強度となると金属製にするしかないが、そのための素材コストが今の俺達には厳しぎるのもある。
……洞窟攻略とかもいいけれど、そろそろ本気で工業炉と科学作業台を完成させることに力を注ぐべきかもしれない。
四百二十三頁目
拠点の建設中にそっと近づいてきたソフィアが時折、例の反射がちらつくと訴えてくる。
実のところ言われる前の時点で俺も何度か不自然な光の反射があることに気づいていた。
ただそこそこ距離がある上、すぐに反射が消えてしまうので確認しに行くのも難しそうなので放置していた。
……しかしこうもジロジロ見られるのは何だか気分がよろしくないし、向こうが何を考えているのか気になって仕方ない。
だから一旦この拠点のことは他の皆に任せて、俺はアルケンで周りを偵察して回ることにした。
ただ高度を上げて空の上から見下ろしても向こうは絶妙に隠れて正確な位置を把握できない。
それでもわかりやすく空から監視し返すことで向こうは動きにくくなるはずだった。
またこの状況にしびれを切らして下手に動こうものなら流石に追跡できるはずだ。
果たして俺が飛び上がったタイミングでピタリと不審な光の反射は収まったではないか。
……かと思えば少し離れた場所で松明を振り回して合図を送ってくる人が現れたではないか。
一応望遠鏡で相手の様子を確認すると、モーリツさんらしき人の姿が……やっぱり監視していたのは彼だったのか。
しかしコソコソしていたかと思えば急に目立つ真似をするだなんて……本当に何を考えてるんだあの人は?
四百二十四頁目
アルケンで近づいていったところモーリツさんの傍には他にも生存者と思わしき人達が息を潜めていた。
どうやら彼の協力者……だと思ったのだが、何故か彼らはアルケンに乗って近づく俺を見るなり冗談じゃないと吐き捨ててモーリツさんを置いて逃げ出してしまった。
あんまりな態度と捨て台詞に俺は困惑してしまったが、モーリツさんは何も気にした様子もなくこちらに一礼して会話をしようとしてくる。
どうも今回は顔を合わせて言葉を交わしてくれるつもりのようだが、それよりも逃げた人達に対して何を思っていなさそうな態度の方に俺は余計に困惑してしまう。
だからついつい仲間だったんじゃないのかとか放っておいていいのかなどと尋ねてしまうが、モーリツさんは利害関係で繋がっている仲なのだからこんなものだろうと当然のように言ってのけた。
……そう言っている間にも逃げた先で彼らは野生の肉食にでも襲われたのか悲鳴を上げているが、やはり気にもしていないのか振り返ろうともしなかった。
むしろ俺の方が慌てて弓矢を取り出し、ギリギリ射程圏内にいた狼を射抜いて倒して助ける羽目になる。
尤もそうしても助けた相手もお礼一つ言わずそのまま逃げて行ってしまうし、モーリツさんも何だか面白そうに俺を見つめるばかりだ。
余りに冷たい態度に流石に思うところがあり、つい彼に文句の一つでもを言おうとした……ところで先に彼が口を開いた。
『なるほどなるほど、君は実に情が深い人間なのだね……それとも君のいた時代においてはそれが常識なのかな未来人殿?』
今回名前が出た動物
ロックエレメンタル(ゴーレム)
ダイアウルフ(狼)