百九十九頁目
もうこれに縋るしかない、このレシピに書かれているメディカルブリューという体力を回復させる飲み物を作らないと。
材料はアルケン君が持ってる腐ったお肉と黒い果実を混ぜ合わせて作る麻酔薬と赤い果実を飲み水で茹でながら溶かし込めばいい。
問題は調理鍋だ……水が漏れずに火に当てても壊れない物など、手持ちの資材でどうやって作ればいいのか私には想像もつかない。
だけどやらないと、私のために傷付いて意識を失っているこの人が死んでしまう。
だから考えに考えて、ふと瀕死のこの人が前に左手の鉱石を見つめながら何かしらを工作していたことを思い出した。
必死に自分の鉱石を見つめながら願うように調理鍋の作り方を考えて……不意に鉱石が緑色に輝いた気がした。
……あっ!? そうだ石と木材を中心に火打石やわらも利用して……上手く組み合わせれば出来るかもしれないっ!!
二百頁目
レシピ通りに赤い液体を完成させたはいいけど、意識を失っているせいで上手く飲ませることができない。
必死に方法を考えるけれど何も思い浮かびは……映画か何かで見た口移しで飲ませているワンシーンが思い出された。
だけど自分もこの人も汚れ切っているこの状態で、まして出会ったばかりの人にそんなことをするのは抵抗がある。
それでも目の前で呻く声が徐々に小さくなっていくところを見たら、もう一刻の猶予もないのだと危機感を抱く。
このままこの人が死んだら私はまた一人ぼっちだ……何より命がけで私を助けてくれた恩人を見殺しになんかできない。
覚悟を決めて私は赤い液体を口に含んで、顔を近づけていった。
……ファーストキス……あぅ……だけどこれぐらい全然平気……それに命がけで私を助けてくれたこの人が相手なら嫌じゃない……むしろ……
二百一頁目
目を覚ました俺は、自分の身体に寄りかかりながら居眠りしているフローラに気が付いた。
とりあえず無傷らしい少女の姿にほっとしつつ、周りを見回して……自分たちが赤いオベリスクの近くに作った簡易拠点にいるのだと気づいた。
何故こんな場所にいるのか記憶をたどって、すぐにあの時のことを思い出す。
結局俺はあの最初の拠点を守り切れなかった。
テラ君とアルケン君を除く仲間の動物を皆殺しにした敵がなだれ込み、三重に作った防壁を片っ端から壊していく中で俺はフローラを力づくで拠点から引きずり出して強引にアルケン君に乗せたのだ。
そして赤いオベリスクの近くに俺が作った安全な拠点があるからそこに逃げるように告げると、俺はフローラが逃げきれるようにテラ君で敵の恐竜の気をひきながら反対側へと飛び立った。
それまで石の矢で攻撃していたこともあって、あっさりとそいつらは俺へと狙いを定めて追いかけてきた。
しかしすぐにテラ君のスタミナが尽きてしまって、着陸したところを襲われて……記憶があやふやだがそこへアルケン君に乗ったフローラが泣きながら近づいてきたような記憶がある。
多分あのかぎづめで何とか俺を掴んで浮かび上がり、この拠点まで逃げきることに成功したのだろう。
どうやら守るつもりが守られてしまったらしい……可愛らしい命の恩人の頭を感謝の意味を込めて優しく撫でてあげる。
……ところで定期的に書いている日記の数ページが切り取られているように見えるのは気のせいだろうか?
【今回名前が出た動物】
アルゲンタビス(アルケン君)
プテラノドン(テラ君)