ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第641話

四百三十三頁目

 

 拠点のあった場所へと引き返すと、既にそこには立派な住居と防壁が完成していた。

 更には風力発電機までもが設置されており、その隣にはかなりの高さを誇る見張り台まで立っている。

 そして風車からの電線は見張り台の頂上に設置されている全方位ランプに接続されているではないか。

 

 今は昼間だからあまり目立たないが電灯の光は松明とは比べ物にならないほど強い。

 それこそ夜になればこの高さもあって、まるで灯台の様に遠くにいる人にまでこの場所を知らしめるほどの輝きを放つはずだ。

 ……多分これはこの拠点をここに来る人達の避難所になるようにと俺が言ったからそのために考えてやってくれたのだろう。

 

 本当にありがたいしとても良い仲間に恵まれたと思う。

 だからこそ余計に気を付けないと……俺の価値観だとか常識だとかが絶対に正しいと無意識に押し付けて、嫌な行為を強要するような真似だけはしないようにしたい。

 そのためにもやっぱり話し合って方針を決めるのが一番……ってそれは今までやってきたことじゃないか?

 

 何だかんだで俺はちゃんとやれてるって、思っていいんだろうか……いや俺を信じてついて来てくれた人達のためにもそう思わないとな。

 

四百三十四頁目

 

 無線が途中で途絶えたこともあり、戻ってきた俺を皆は心配そうに出迎えてくれた。

 そんな彼らに危険なことは特になかったと告げると、実際に怪我などを負っていないこともあって取りあえず安心してくれたようだ。

 それでもこれだけ時間が掛かったことについて気になるようで何をしていたのか問いただしてくる。

 

 ……正直少しだけ何というべきか迷う。

 先ほどのことを話すのならばどうしても去って言った人達についても……モーリツさんの言っていたことが事実ならば、キャシーやソフィアのことを良くない目で見ていたらしい男が居たことにも言及しないといけないだろうから。

 かなり言い辛いことだし、何ならせっかく精神的に安定している二人を不安にさせてしまうかもしれない。

 

 そんな懸念は多くあるけれど、結局俺は正直にすべてを話すことにした。

 どんな出来事であれ俺自身が一人で勝手に判断するのは、それこそ善意の押し付けになりかねない。

 実際にキャシー達と合流した際に色々とぼかしていたせいでルゥちゃんの発言一つでトラブルになりかけたぐらいだ。

 

 何より俺は決めたんだ……ちゃんと大事な仲間全員で話し合って方針を決める、そうやって俺達のトライブにおける正しさを保っていこうと。

 前の島でもずっとそうしていたし、これからもずっと異なる時代異なる場所から来た仲間達の価値観を一方的に否定することなくやっていきたいから……。

 仲間になってくれる人には全てを伝え、その上で皆で考えてどうするか決めていく……もう迷ったりはしない。

 

 ……痛まないってことはフローラもこれで良いって思ってくれてるんだよね……そうさ、俺にはフローラが付いているんだから大丈夫に決まっている。

 

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