ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第646話

四百四十四頁目

 

 前ならば間違いなく近くに他の生存者がいないか確認しに行っていただろう。

 しかし先ほどモーリツさんから聞いた話を覚えている俺達は、まして護身用となるピストルの準備も訓練も済んでいない状態でソフィアと共にあそこへ出向く気にはならなかった。

 ただ代わりとばかりに二人で望遠鏡を使って何かわからないか観察してみるが、分かるのは近くに焚火や調理なべと小さい収納ボックスが置かれていることぐらいだ。

 

 ……いや正確には収納ボックスの表面には意味ありげな模様が描かれているのだが、あれが何を意味するのか俺にはさっぱり理解できない。

 ソフィアもまた同じなようであれが何なのか二人で顔を見合わせて首をひねるが答えが出るはずもない。

 だけど一つだけわかるのは、色染めしているということは鉱石を見ただけでは分からない染料の作り方を知っているということだ。

 

 まあフローラが早い段階で見つけていたから製法自体は難しくないのだろうけれど、少なくともあれらの主はインプラントだけを頼りにこの砂漠を生き抜いているわけではないようだ。

 それはつまり有能な人だと言っているようなものであり、自然と俺の脳裏にはモーリツさんの姿が思い浮かぶのだった。

 ……あの人ならこれぐらいやってても不思議じゃないし、もしそうだとすればここがあの人にとっての活動拠点ってことになりそうだな。

 

四百四十五頁目

 

 コレオちゃんの同種が目を覚ましたことで、取りあえず井戸の場所を地図に書き加えられるようメモを取ってから移動を再開する。

 そして帰路を進む間にまた地上を見下ろして、あの井戸に関係ありそうな人物がいないか探してみたが人っ子一人見当たらなかった。

 結構頻繁に日とは送られているはずだし、実際にモーリツさんの傍にはそこそこ人が集まっていたというのにどうして俺達の目には止まらないのだろうか?

 

 不思議に思ってソフィアにも聞いてみると意外にも彼女は何となくわかる気がするという。

 驚きどういうわけか尋ねる俺の様子を見てソフィアは何がおかしいのかクスリと微笑むと、俺達の身にまとっている衣服を指し示し次いで太陽を指さして見せた。

 結構行動しているから日は落ちて来ているが太陽はまだ沈んでいない……つまり辺りは未だに熱気に包まれている状態だ。

 

 ……ああそうだ、ここでは太陽が出ている間はあんまりにも熱くて専用装備でも着ていないと日向に出ての活動なんてそうそうできるもんじゃなかったじゃないか。

 しかしこの熱に強い装備を整えるまでには俺達もそこそこ時間が掛かっていたわけで、殆どの生存者は熱と危険な肉食に耐えかねて日陰に身を潜めているのだろう。

 そりゃあ空から見回すやり方では見つからないわけで、逆に地の上を中心に徒歩で移動しているっぽいモーリツさんの方はそれなりに見つけられるわけだ。

 

 何だか物凄く納得がいったような……というかそんな簡単なことを見逃していた自分が情けない様な……なんて落ち込む俺をソフィアはやっぱり楽しそうに微笑みながら見守り続けていた。




今回名前が出た動物

ティラコレオ(コレオちゃんの同種)
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