四百四十六頁目
拠点に戻った俺達の耳にパンパンと軽快に鳴り続く花火のような音が聞こえてくる。
音の聞こえた方へ向かうと訓練人形を前に拳銃の練習をしているハンスさんとルゥちゃんの姿があり、その二人をキャシーは熱心に指導していた。
それこそ上手く当たればナイスとかグレイトとか大声で褒めて見せ、また外れた時は姿勢などの問題を指摘すべく時に相手の身体に覆いかぶさるようにして、直接調整してあげたりしている。
尤も感極まった時に抱き着いているときの方が密着具合は上だが、それでも色々と豊満な部位は相手の身体に触れているように見えるが当のキャシーは気にしていないようだ。
……むしろハンスさんの方が意識してしまっているのか、嬉しさからか或いは羞恥にか顔中真っ赤に染めながらも真剣な表情を保とうとして何とも言えない絶妙な顔をしていて……ハンスさんには悪いけどちょっと、いやかなり面白い。
まあそれはそれとして二人の銃撃の様子に視線を移してみると……うん、ものすごぉくコメントし辛い。
重火器の音と衝撃に慣れていないから仕方ないが、二人とも的に当たる方が珍しいぐらいだ。
……というかハンスさんは色んな意味で腰が引けてそうで、そもそもちゃんと集中できていないような気さえするが果たしてこれで練習になるのだろうか?
ちなみにルゥちゃんの方は傍に浮かんでいるオウ・ホウさんからも前の島での経験からくるアドバイスを受けており、構え方は結構様になってきているが目測が苦手なのかそれとも銃撃の音が嫌いなのか一発撃つたびに息をついている。
この調子だと二人がちゃんと銃を扱えるまでにはまだまだ時間が掛かる……というか色々と危なっかしいし、これは誤射した時がヤバい銃ではなく他の護身手段を考えるべきかもしれない。
四百四十七頁目
戻ってきた俺達に気づいたキャシーは手を止めると、ハンスさんとルゥちゃんに休憩を告げた。
途端に何やら腰砕けになったように地面の上にへたり込むハンスさんと、即座に口笛を吹いて呼び寄せたカンガちゃんの袋の中に納まるルゥちゃん。
疲れ切っている二人の様子からして、どうやら見た目とは裏腹にキャシーの指導は結構スパルタだったようだ。
まあ当の本人はまだまだ元気なようで、戻ってきた俺達の連れていたコレオちゃんの同種をうんうんと頷きつつも時間が勿体ないからと言いろくに話も聞かずにソフィアの手を取り練習場へと引っ張っていく。
……確かにそろそろ日も暮れる頃だし、家の中でもできる報告や話し合いよりも外でしかできない銃の訓練を優先した方が良いのは理にかなっている。
だから特に何も言わず……疲れ切っている二人を見ていたソフィアが何やら縋るような目をこちらに向けていた気がするが、あえて気にしないふりをして見守ることにした。
もちろん俺も多少は心得があるので必要とあればアドバイスなり何なり手伝うつもりでいた。
そんな俺の前でソフィアにも指導を始めたキャシーは今までと同じよう覆いかぶさり……い、いやどう見ても抱き着くような勢いで思いっきり体を密着させている。
そして文字通り手取り足取り指導を……銃の反動でよろめきそうになると腰にも手を当て始めたぞおい。
………………僕はとても熱心な指導だなぁと思いました。
今回名前が出た動物
プロコプトドン(カンガちゃん)
ティラコレオ(コレオちゃんの同種)