四百六十四頁目
昼食を食べ終わるや否や、ハンスさんと共に俺は旋盤を動かし科学作業台を完成させた。
それをパララ君の背中に配置すると、電線を繋ぎガソリンを注いで早速稼働させてみる。
……一応砂への対処として居住区というか壁で覆われた場所に配置したのだが、それが良かったのか問題なく科学作業台は動いてくれたようだ。
前の島で見慣れていたはずだが、こうして改めて科学作業台を目の当たりにするとようやくここまで来たのだという感動が湧き上がってくる。
ハンスさんも隣で試験管などの科学的な物品が揃っている光景にかつてのことを思い出しているのか、少し涙目になっている。
それに対して女性陣は来た時代の問題もあってか不思議そうに眺めるばかりだ。
まあそれでも実際に俺が使い方を教えるべくセメントや麻酔薬を精製して見せると食いついてきた。
特にソフィアは化学変化そのものに興味津々なようで、俺やハンスさんにこれらの反応について色々と細かく尋ねてくる。
ただ俺はインプラントだよりなだけで科学者ではないためその辺の説明は難しい……だから助けを求めるようにハンスさんを見ると、こちらは水を得た魚とばかりに意気揚々と話し出した。
……キャシーとの関係ばかり目についていたけれど、ハンスさんとソフィアも普通に仲良くなっていたんだなぁ。
ちょうどいいし、取りあえずソフィアの相手は任せておこう。
四百六十五頁目
意外なことにルゥちゃんもこの科学作業台に興味を示しているようであった。
尤も彼女は試験管の中にある水溶液の色が変化する様子などに心を奪われているようで、ハンスさんの説明はほとんど耳に入っていないようであった。
……考えてみればルゥちゃんはオウ・ホウさんの操るガイドロボットやハンスさんの作った冷凍ポッドのようなキラキラしたものを好んでいた。
試験管も水溶液も光を反射しているため、多分そういうピカピカしてる綺麗な物が好きなのだろう。
だけど仮にも化学変化を引き起こす設備なだけに、知識のないルゥちゃんに気安く触らせて怪我でもさせるわけにはいかないから注意しておこう。
なおキャシーはすり鉢の時と同じ材料でより多くの生成物を効率的に作り出せる事自体には嬉しそうにしていたが、実際にどう使うのかを聞き終わるとさっさと連れてきたコレオちゃん達の様子を見に行こうとしてしまう。
その際に話が盛り上がっているハンスさんとソフィアの方に一瞬、羨ましそうな視線を向けていたのだが二人とも話に夢中で全く気づいていないようであった。
……自分抜きで盛り上がっている姿に寂しさでも感じているのだろうか?
もしかしてキャシーがスキンシップを好むのは意外と寂しがりやだからだったりするのだろうか?
今回名前が出た動物
パラケラテリウム(パララ君)