ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第660話

四百七十四頁目

 

 何だかんだで二人は慎重なようで、興味津々な眼差しを向けつつもまだこの洞窟を攻略すべき段階ではないと理解しているようであった。

 だから少しして落ち着いてくるとマップにこの場所に印をつけ次第移動しようと提案した俺の意見にあっさり頷いてくれた。

 ……尤もアルケンに乗って移動を開始してもしばらくの間、未練がましく何度も振り返っていた。

 

 それでも洞窟の入り口が見えなくなると改めて前に視線を向け始めて、改めてこの渓谷を隅から隅まで調べようとし始めた。

 俺も負けじと周りに意識を集中するが、あの洞窟意外に目ぼしい物は何も……い、いやなんか微かに異音が聞こえる気がする。

 一瞬勘違いかと思ったがキャシーとソフィアも感じているようで不思議そうに首を傾げながら耳に意識を集中しているようだ。

 

 俺もその音を聞き取ろうと耳を澄ましてみたところ、聞き覚えのある羽音であることに気が付いた。

 二人も羽音であるとは気づいたようで、お腹に液体を貯めこむ虫が近くを飛んでいるのかと思っているようだ。

 だけど俺はそうではないと気付いていた……前の島で熊の鳴き声の近くで何度も何度も聞いた音であり、とても美味しい思い出と共に蘇ってくる。

 

 ……間違いない、これは巨大バチの羽音……つまりこの近くに甘くておいしい蜂蜜の取れる巨大バチの巣があるのだ。

 

四百七十五頁目

 

 思った通り近くを少し捜したところハチの巣を見つけることが出来た。

 蜂蜜の味を思い出した俺はすぐに採取しに行きたくなる。

 しかしあの時と違って熊が仲間に居ない今、強引に採取しに行けば蜂の毒針の餌食になるだけだ。

 

 どうしたものかと悩む俺に対しソフィアはあんな巨大なハチには近づきたくもないようで、見つけた時点で可愛らしい悲鳴を上げたかと思うと逃げるように大空へと舞い上がっていった。

 キャシーの方もあのサイズのハチに刺されるのは勘弁なようで顔を引きつらせながら距離を取っているが、それでも仲間にできるのかどうかは気になっているようで俺に尋ねてくる。

 しかし流石の俺もあの蜂を仲間にしようとは思わなかったので一度も試していないため分からないというのが正直なところだ。

 

 ……ただ仮に眠らせて仲間にできるとしても、虫サイズでは麻酔矢どころかダーツ式の麻酔弾で打ったとしても眠らせる以前に死んでしまうのがオチだ。

 何せいくら大きいとはいえ巣の周りを飛んでいる働きバチと思わしき存在はしょせん虫の範疇でしかないサイズなのだから。

 まあもしあの巣の中にもっと巨大な、それこそ女王バチのような存在が居るのならば話は別かもしれないけれど……




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン)
ジャグ・バグ(お腹に液体を貯めこむ虫)
イキオオミツバチ(巨大バチ)

見つけた洞窟(すみません、前の話で書き忘れてました)

The Old Tunnels(門番の洞窟)
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