ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第667話

四百八十九頁目

 

 何の問題もなく真珠を一通り回収した俺はオベリスクの操作盤を不思議そうに小首を傾げながら弄っていたルゥちゃんと合流するとすぐにその場を飛び立った。

 もう日も暮れかけているので真っ暗になる前に帰りたかったからだ。

 念のためセットしたばかりの新しい原油ポンプがしっかり動いているのを確認してから拠点へまっすぐ戻る。

 

 すると轟々と勢いよく煙を上げている無数の製錬炉の輝きが目に入ってきた。

 どうやらキャシー達と出かけた際に回収しておいた金属鉱石を溶かしているようだ。

 本当に気が利くというかなんというか……これなら工業炉に必要なインゴットはすぐにでも揃いそうだ。

 

 そして他に足りない素材のうち原油は新たに設置した分も含めて四か所から採取できるようになったため、二倍の勢いで集まるはずだ。

 となると残るはセメントとポリマーか……さてどうしたものかな?

 

四百九十頁目

 

 皆で夕食を食べつつ改めて今後の方針を相談し、結果として明日は外周部の砂漠を中心に探索して回ることになった。

 工業炉を作るのに足りないセメントとポリマーはどちらも外周部の砂漠に居るカマキリを中心とした動物を狩ることで効率的に集められるからだ。

 またあの地帯の探索が全く進んでいないことに加え、遠目で見ていた二か所の遺跡跡地が気になっている。

 

 それらを一気に解消するためにもキャシーとソフィア……だけでなくハンスさんとルゥちゃんも連れて皆で出ることになった。

 少し前に洞窟近辺で見かけた不可思議な形をした人工物のようなものをハンスさんに相談した際に実物を見なければ何とも言えないとのことだったので、同じような物を見つけた時に備えてのためだ。

 ……尤もそれは半ば口実のようなものであり、実際には女性陣にばかり任せて自分だけ安全な拠点に籠っている状況に思うところがあるのだろう。

 

 また科学作業台が出来たことでクラフト関連の制作効率が格段に跳ね上がり、付きっ切りで作業しなくても大丈夫な程度には余裕ができたこともあるようだ。

 そしてハンスさんが行くとなるのにルゥちゃんを一人残して行くのも心配なため、どうせなら移動拠点抜きでも皆で野外活動できるよう試しておくことになったのだ。

 ただその間にこの拠点を見つけて立ち寄ろうとした新たな生存者が来たらと考えると少し困るが、ここ数日ほど拠点に居たが誰一人としてやってくることはなかった。

 

 ……多分近くにいるであろうモーリツさんの活動が関係していそうではある。

 そもそも前はこの最初の位置にある拠点に居ると夜中に悲鳴がほぼ毎日のように聞こえていた。

 しかしモーリツさんの姿を確認して以来、殆ど聞こえなくなっていることを考えるとやはり関連がありそうな気がしてならない。

 

 それが果たして良いことなのか悪いことなのか……いやどんな意図があったとしても少なくとも悲鳴が減ったのだから良いことなのだと思いたい。

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