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ひときわ大きな寺院風の建物を見た時、俺は特に何を考えていたわけでもなかった。
強いて言うのならば日記が隠れているかもとは思ったが、それ以上にあの屋根の上なら着地してアルケンを安全に休ませられそうだと休憩所にしようとしただけだ。
しかしふと天井の一部が崩れて大きく開いている穴から建物の中を覗き込んでみると地下に向かって続く階段があるではないか。
アルケンに乗ったままその穴を潜り建物の中に入ってみれば、階段の先は立ち入りを禁止するかのように木の板が打ち付けられていた。
ただ下の方に隙間があり人間一人なら入っていけなそうもない。
……この手の地形にも覚えがある……前の島で一番危険だった雪山にある洞窟の入り口がこんな風だったはずだ。
同じく降りてきたこの砂漠で出会ったソフィアとキャシーにはわからなかっただろうが、それでも中に入れそうな隙間を見つけると何やらワクワクした面持ちでこちらを見つめてくる。
ちなみにルゥちゃんとハンスさんは屋根の上で待機したままだ……周りを見張ると言っているが、多分この天井の隙間からスムーズに出入りする自信がないから入りたくないのかもしれない。
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板の前から覗き込み隙間の奥を観察するが、取りあえず近い範囲には生き物の気配はない。
まあ地面の下にもぐっている害悪やサンドワームの存在を思うと、隠れていていきなり飛びかかってくる可能性がないとは言えない。
それでももしかしたら洞窟かもしれないこの場所を全く探索もせず戻るわけにもいかない。
幸い、今回は人間の仲間も勢ぞろいしているわけだしむしろこの機会に調べずにどうするというのか。
そう判断した俺はキャシーとソフィアに銃を構えてもらい、俺がまず中に入るからもし動物に襲われたら隙間から攻撃して援護するよう頼んでおいた。
果たして神妙な顔で頷いた二人であったが、実際に板へ手をかけて銃を構えようとしたところでキャシーが何かに気づいたように声を漏らす。
そして一旦板から離れたかと思うと次の瞬間、足の裏を叩きつけるように板を蹴りつけ……途端にあっさりと封鎖していた板は崩れ落ちて行った。
どうやら経年劣化か何かで脆くなっていたようだ……呆気にとられる俺達を他所にキャシーは、これで動物で入っていけますねと広々とした入り口を前に楽しそうに呟くのであった。
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確定だ、間違いなくここもまた洞窟のようだ。
キャシーのお陰でアルケンに乗ったまま先へ進んだ俺達だったが、すぐにレンガ造りの壁は岩肌が露出した自然の洞窟へと変化していった。
更にその中を少し進んだところでアルケン達が嫌々し始めた。
これは間違いなくアーティファクトのある洞窟に侵入した際の飛行生物特有の動きだ。
予想していたとはいえ、これが本当に洞窟だったとは……もし前に建てた仮説通りこの砂漠にある洞窟の総数が三つだというのならばこれで全て見つかったことになる。
……正確には一番最初に見つけた洞窟はアルケンで中に入らなかったので本当の洞窟かはわからないのだが。
実際に前の島では希少資源ばかり転がっている海底洞窟という前例があった。
まあその辺は次に行ったときにでも確かめればいいだろう。
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)
プルロヴィア(地面の下にもぐってる害悪)
デスワーム(サンドワーム)
今回見つけた洞窟
Ruin of Nosti(破壊者の洞窟)