ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第675話

五百十二頁目

 

 仲間になったコレオちゃんの同種を吊り下げ、自力で飛べるハゲワシは追従させる形で最初の拠点へと戻っていく俺達。

 すると既に先に到着していたソフィア達が孵化部屋の改修工事をして……いなかった。

 一体どうしたことかと思ったのも一瞬で、すぐに俺の腹が鳴りちょうど今が昼食を食べるのにちょうどいい時間であることを思い出す。

 

 恐らくみんなももう少し涼しくなるまでエアコンの効いた部屋で休みつつ食事を取ることにしたのだろう。

 普段なら砂漠用の装備のお陰であまり気にならなくなった熱波だが、流石に先ほどの外周部の砂漠における消耗がまだ残っているのだろう。

 実際に俺とキャシーも同じ気持ちなためすぐに居住区へと向かうと、思った通り俺達の分の食事の用意もしておあり、先に食べていたハンスさんとルゥちゃんが声をかけてくる。

 

 ちなみにソフィアも彼らと同じく食卓に付いているのだが、彼女は先達者様の日記を読み耽るのに必死なようで食事にもほとんど手を付けていない。

 ……本好きだってのは知っていたけど、まさか文字通り飲食を忘れて没頭するほどだとは。

 

五百十三頁目

 

 ソフィアは先ほど手に入れてきた分だけでなく、現在所持している全ての日記を集めて読み返していた。

 どうやら頁を時系列順に並べて、少しでも先達者様の旅路を知ろうとしてるようである。

 そんな彼女だが俺達が声を掛けるとようやく戻ってきたことに気が付いたようで、恥ずかしいところを見られたとばかりに顔を赤く染めていた。

 

 しかし俺が何かわかったことがあるのか聞いてみると、彼女は一瞬得意げな顔になったがすぐにあっと声を漏らし何とも言い難い複雑そうな表情を浮かべた。

 ……その様子から恐らくは何かしら役に立ちそうな発見はあったのだろうが、同時に好ましくない何かを知ってしまったようでもあった。

 ソフィアは言い辛そうにしながら口を開こうとした、ところで彼女のお腹もまた空腹を訴えるように鳴り響くのだった。

 

五百十四頁目

 

 昼食を取りながらそれぞれの先達者様の日記を編纂したソフィアの話を聞いていくが、途中からみんな食事の手を止めて聞き入っていた。

 尤も各々が関心を向けている点も心に湧いている感情もまるで異なるものだ。

 笑顔を浮かべて生態調査書に目を向けているキャシーは、そこに書かれているフェニックスという生き物に興味津々なようだ。

 

 ……そうヘレナ氏が残した一枚の調査書の内容は不死鳥や火の鳥として有名な空想上の生き物でしかないはずのフェニックスについて書かれていたのだ。

 もしこれをこの砂漠に来た当初に見つけていたらヘレナ氏の正気を疑うところだ。

 しかし前の島でもユニコーンが、ましてこの砂漠にはゴーレムやワイバーンという空想上の生き物が当たり前のように生息しているところを目の当たりにしているため、フェニックスが居てもおかしくはないではないか。

 

 そう考えると俺と合流する直前にソフィアが朧気ながらも燃える鳥を見たと言っていたのはひょっとしなくてもフェニックスであったのではないか?

 そしてこの手の生き物に目がないキャシーはもう捕獲する気満々なようで、捕獲した後の飼い方を目を輝かせながら語っている。

 また物語好きなソフィアも気になっているようで、不老不死伝説が本当かどうかなど色々と調べたそうにしていた。

 

 それに加えて新たに手に入れたヘレナ氏の日記にはワリという人物がやはりワイバーンをテイムしているらしい様子が記されていた。

 つまり俺達も上手くやればあの火を吹く空飛ぶドラゴンも仲間にできるということになる。

 この情報にもルゥちゃんを除いてみんなの気持ちを高ぶらせるのに十分であり、俺もその話を聞いた時点までは興奮していた。

 

 ……だけどロックウェル氏の日記に話が移ったところで、俺は心に直接氷を押し当てられたかのような衝撃を受けた。

 何故ならそこには俺の命の恩人でもありある意味で一番尊敬している彼が、盗みを働いたとの記述があったからだ。

 いやそれだけでない、共に行動しているトライブの仲間を煽り立てて無理やりオベリスクの奥にいる怪物……守護者と戦うよう仕向けたようである。

 

 前の島に居たドラゴンとの激戦を思い出せば、自分の目的のためだけに大事な仲間をあんな危険な戦いに巻き込めるのが信じられなかった。

 尤もその仲間達はかなり乱暴な一団だったらしいが、それでも実際に犠牲が出たにも関わらずで進歩のための必要な犠牲だと断じており……まるで道具の様に見做している節さえ感じられる。

 ……何でだ、どうしてあのロックウェル氏がこんな……本当にこれは彼の日記なのだろうか?

 

 そして仲間達をオベリスクの守護者にぶつけた後でロックウェル氏はエレメントと思わしき物質を手に入れたらしいが、そこで彼の日記の記述は止まっていた。

 ただヘレナ氏の日記の方に一人で砂漠をさ迷っていた彼と合流したと記述があり、しかもその際には例の守護者のアーティファクトも所持していたという。

 仮にも大きな犠牲を出しながらも仲間と共に手に入れたはずのソレをトライブから離れて一人で抱えていたということが意味するのは……いや、そんなまさか…………




今回名前が出た動物

ティラコレオ(コレオちゃんの同種)
ハゲワシ
フェニックス
ユニコーン
ロックエレメンタル(ゴーレム)
ファイアワイバーン
ドラゴン
●●●●●●(オベリスクの守護者)

これまでに手に入れた日記

ヘレナの記録(#4/#10/#15/#20/#21/#22/#26/#28)
ダケイヤの記録(#2/#22/#29/#30)
ライアの石板(#4/#10/#21/#22/#23/#25)
ロックウェルの記録(#3/#10/#21/#22)

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