五百十五頁目
話す前にソフィアが気まずそうにしていたのは俺がロックウェル氏を尊敬していることを知っていたからのようだ。
……しかしまだちゃんと日記全てが見つかったわけではないし、或いは何か勘違いしているだけの可能性もある。
何より彼がメディカルブリューという回復薬のレシピを残してくれたおかげで何度となく俺達の命が救われた事実には変わりがない。
だから明確な証拠が出るまでは俺はロックウェル氏のことを信じたい……そう思い大丈夫だとソフィアに告げ話の続きを促した。
すると少しだけ俺のことを気に掛けながらもソフィアはダケイヤ氏とライア氏の日記についてまとめて話し出した。
というのも、どうもこの二人は同じトライブに所属しており行動を共にしているようであるからだ。
尤も最初の方の頁を読む限り別々の場所で目を覚ましたらしいので、恐らくこの日記の途中で合流したらしい。
ただ俺達の持っている頁だとトライブのリーダーらしいライア氏とそのトライブの護衛役らしいダケイヤ氏はかなり親しくなっているようであった。
しかも二人が所属するトライブはかなり繫栄しているようであり、お祭りごとを企画するほど平和が保たれて『いた』ようだ。
また祭事に伴い祈りや信仰などの記述がある辺り、どうもライア氏は教祖的な立ち位置でトライブを収めているようだ。
俺とは全く違うやり方だがそれでも上手くトライブを経営できていたことは素晴らしいと思う……けれどそんな平穏などARKは許してくれなかったようだ。
急に狩猟隊が焼死体となる事件が起きたりキナ臭くなってきたかと思うと、しばらくしてオベリスクが異様な反応を示し……天変地異が彼らの街を飲み込んだ。
それでも唯一生き延びた二人だが最終的にワイバーンの群れに囲まれた挙句、ライア氏を守るためにダケイヤ氏は単身で飛び出していった……というところで日記は終わっていた。
ハンスさんは痛ましそうな顔をしながらもその辺りの記述が気になったようで、恐らくはこれも停滞を許さないARKシステムの一環だったのだろうと言う。
……まさか野生動物を嗾けるだけにとどまらず天変地異を引き起こしてまで人を動かそうとするだなんて、幾ら地球を再生するプロジェクトだとは言え何も知らない人間に対してあんまりにも酷すぎる仕打ちじゃないか。
しかしそれが事実ならば仮に前の島で上手くフローラと共に村を作って暮らしていけたとしても彼女達の二の舞になっていた可能性が高い。
俺と同じ考えに至ったのか、右手首の鉱石がほんのりと悲しそうに瞬いていた。
今回名前が出た動物
ファイアワイバーン(ワイバーン)